新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4月18日 その2 訃報

2017-04-18 16:21:02 | コラム
渡部昇一氏逝く:

誠に残念なことだと存じます。上智大学の出身者としては気骨ある大変な学者であり論客であったと、尊敬申し上げておりました。

私よりは確か3期上の同じ文学部英文学科の方で、思い出としては「通常はあり得ないことでしたが、1年生の時に教養課程の科目で専門課程の渡部昇一さんが同じ教室におられたのでした。東北弁の訥々とした語り方に特徴があったので、良く覚えていました」次第です。まさか後年あれほど有名な上智大学教授になられるとは夢にも思っていませんでした。今にして思えば光栄なことでお話しする機会であったならと思っております。

上智大学出身者には多くの産業界の大手メーカーや総合商社で出会いましたが、何れも穏やかで能力ある静かな実務派が多く、水曜会のTK博士のような気骨に溢れた論客は少なく、その点でも渡部昇一さんは異色というか特色がある学者だったと思っております。本当に惜しい方を失ったと残念至極に思います。上智大学にとっても損失だったでしょう。

ここに生前の遺徳を偲んで哀悼の意を表します。

人物論

2017-04-18 08:45:51 | コラム
トランプ大統領を評価するのは難しい:

あるところに豪腕をふるって輝かしき実績を挙げてきた商社マンがいた。彼は順当に昇進し先ずは中近東の某国駐在を経験した。帰国後は課長に昇進し輸入でその手腕を発揮した。次の任地はアメリカはニューヨーク支店だった。ここでも2部門の代表者として活躍し新分野を開拓して成功した。次には西海岸の旗艦店をも兼務するようになった。ところが、7年にも及ぶ北米勤務を経て帰国した彼を待っていたのは子会社のまた子会社の社長という言わば閑職だった。

周囲の取引先からは「何故北米でもあれほどの手腕を発揮した彼が冷遇されるのか。勿体ないではないか」との声が上がった。だが、誰もこの疑問に答えようとはせず、沈黙した。だが、匿名を条件にこの人事の背景を語ってくれた人がいた。「極めて簡単なことで、彼は外では豪腕をふるって実績を上げるが、内部では管理職としては全く機能していなかったのです。即ち、会社は管理職としては不合格と判定したのです」だった。

何故こんなことを長々と語ったのかと言えば、この商社マンとトランプ大統領には何か共通するところが感じられるからだ。それはトランプ大統領は狭義ではオバマ大統領には為しえなかったような事柄を大胆に推し進めたことがあり、更にはこれまでのアメリカの数多くの大統領が避けて通ったかののような貿易不均衡問題にも臆するところなく我が国や中国を名指しで非難した。シリアへのミサイル攻撃などは大胆且つ慎重にことを図って実行し、尚且つ習近平への圧迫材料に仕立て上げた。

しかしながら、内政面では未だに閣僚の全員を任命し切れておらず、DCの官僚組織の入れかも完結していない。それだけに止まらず、いくつかの大統領令の発令では反トランプ派の反対に遭って頓挫している状態である。こういう事態を冷酷に判定すれば、格下げ人事もあり得るのが民間の会社のシステムだろうか。

だが、敢えて言えば人間誰もか全知全能ではない訳で、トランプ大統領が政治・経済・軍事・外交の如何なる面でも満点を取れる訳ではないだろう。現時点では芳しくない査定をされるのも仕方がないのかと思うのだ。だが、もう少し時間をお貸しすれば素晴らしい大統領になってくれることも十分に可能性が残っていると思う。

何れにせよ、我が国にとっても、全是界にも、ドナルド・トランプ氏が前任者を遙かに凌ぐ立派な大統領になってくれることが最も望ましいのだ。私は正直に言って、トランプ大統領には試行錯誤でも”OJT”ででも結構だから不動産業界以外の分野での経験を積まれて、誰でもが納得する形で「アメリカを再び偉大に」にして欲しいと願っているのだ。