新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

GSOMIA問題は一先ず落ち着いたかのようだが

2019-11-24 10:42:42 | コラム
対韓国の問題解決はこれから先だ:

私は以前に日本の会社時代の1971年の韓国からの輸入取引等の経験に基づいて「韓国は未だに国家の体を為すまでに成熟していない」と言った事があったが、今回のGSOMIAの失効一時停止に至る経過を見ても、その感を拭い切れていない。韓国の新聞が「無能外交」と決めつけていたが、今回の決断に至までに大統領ともあろう者が右往左往していたとしか見えないのだ。

その図式を見てみれば、先ずトランプ大統領の存在が大きく浮かび上がってくる。アメリカは確かに韓国にエスパー長官等の高官を派遣して文大統領以下の説得に努めたが、そこに至るまでの感にトランプ大統領が文大統領に接触したとか圧力をかけようと得意のTwitterで語った事はなかったと記憶する。私にも見えるその背景にある事情は、常に「損得勘定」も判断の基準に使われるトランプ大統領は、何としてもDPRKの金正恩委員長と関係を維持して非核化を進めて、来たるべき選挙の対策としたい為に、DPRKが歓迎しないGSOMIA継続を推進したくなかったのだろう。

しかも、トランプ大統領が文大統領を明らかに評価していないようだから、彼の為に何の得にもならない安倍総理の説得に動く訳などないのだ。アメリかではこのように非常に興味深い状況にあったように見えるし、もしかして文大統領が期待していたかも知れない「GSOMI問題で仲裁に動いてくれるかも」という事などトランプ大統領は毛頭お考えではなかったのだろう。

文大統領はこの辺りを明らかに読み間違えていたので、GSOMIAを破棄して金正恩委員長に評価して貰って南北統一を何とかして一歩でも進め、一方では最大の貿易相手国である中国のご機嫌も買おうと画策していたと見えるのだ。彼はアメリカがあそこまで強烈にGSOMIAの維持継続の圧力をかけてくるとは読めていなかったのだろう。彼文大統領は明らかにこの破棄で進歩派と日本を嫌っている者たちの歓心を買えると思っていたのではないのか。

そこで、日本の貿易手続きの変更と強化を半島からの労働者の判決問題への報復であると宣伝して、GSOMIA破棄に結びつける策に出たのだった。ところが日本側は一向に動揺する事なく、全くこれまでのように何か圧力をければ動揺する事もなく、何らの譲歩の気配もなかったのも誤算だったのだろう。このように誤算続きだったところに、国内では「反日種族主義」がベストセラーとなるような事態が生じていたのだった。

そこで止むなく今回の失効の一時停止の表明と貿易管理手続きの変更に関するWTOへの提訴も云々との挙に出てきたと思って見ている。ところが、康京和外務部長官は大統領の本心を忖度したのか、あるいはGSOMIAとWTOの件は嘘であって「一時的な時間稼ぎである事」を語ってしまったようなのだ。それが証拠に、文大統領以下は半島からの労働者の判決問題の解決法については全く触れていなかったではないか。彼らがやった事は全く我が国が受け入れる訳がない奇妙な妥協を強いるような提案だけだった。即ち、彼らが本気で譲歩したと思うのは早計だという事。

私如きには安倍内閣が「もしも韓国側というかあの訴訟の原告団が本当に差し押さえた資産を差し押さえ換金するという国際法違反の暴挙に出た場合に、具体的な報復措置を採るか」などは解る訳はない。だが、安倍政権はこの件について一切言及していないのだ。私は彼らはその挙に出ないという保証はないと見ている。それは文大統領は司法の決定を尊重するという逃げの手しか打っていないから危惧するのだ。

これも「事
態は何ら変わっていない」と主張する一大要因である。先ほどフジテレビで橋下徹氏は「我が国にある韓国の資産を差し押さえるぞと言え」との案を語っていたが、そういう対抗策も必要だろう。だが、かえって「何も言わずにいるのも無言の圧力」と韓国側が受け止めていれば良いのだがなどと、密かに考えている。しかし、彼らは「黙っているのは受け入れた事」と勝手に解釈しそうなのが怖い。まともな相手だと思ってフェアーに取り組むべき相手かどうかを、あらためて検討すべきだ。虚言癖を見破らねばならないと思う。