新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月19日 その2 仮令4ヶ国でも

2020-06-19 16:55:10 | コラム
出入国を4ヶ国に限って緩和するとか:

私は生来の悲観論者なので、政府がニュージーランド、オーストラリア、タイ、ベトナムの感染者の発生が極めて少ない国とのビジネス関係者の出入国の緩和を言い出したと聞いた途端に、不安になってしまった。確かに、出国前にPCR検査をして云々との条件は付けられるようだが、医学用語ではないと言われた偽陽性だか擬陽性というのもあったのだから、その反対もあるような気がしてならない。またPCR検査の証明書にしたって、作る気になれば出来そうな国が世界の何処かにありはしないかということ。矢張り、我が国は性善説信奉国だと痛感した。

世間では「インバウンド」という、理屈をいえば意味不明なカタカナ語が普及して、海外からの観光客が来ない為に存続の危機にさらされている業種というか企業があるのは間違いないのだろう。政府がその点に気を配っておられるのは尤もだとは思う。だが、訪日外国人が対前年同月比で99.9%減少などという報道はおかしい。110ヶ国等からの入国を禁じていれば当然の結果だ。

そのインバウンドの激減にしたところで、星野リゾートの星野佳路社長によれば「我が国の観光客による収入(売上げか)のうちにインバウンドが占める比率は17%に過ぎず、大騒ぎすべき性質ではなく、国内の観光客を増やせば補いは付く」のだそうだ。当方はそもそも外国人にお出で願う事をさほど有り難い事だとは思っていないので、星野社長の発言には大いなる興味を感じた。そんな事を言えば国交相に「その為に『Go toキャンペーン』の予算がある」と言われそうだが、県境をまたぐ移動もその為もあって解禁されたのだろう。外国頼みよりも賢明な策だと思う。

河井克行・案里事件

2020-06-19 14:25:27 | コラム
考えさせられる事が多い事件だ:

本19日は気温も低い上に雨にも降り込まれたので、所在なしにこの件を採り上げていたバイキングを聞いていた。見ていたのではない、念の為。先ず私が興味を感じたのが「広島県民の中に『人の上に立つ者がこういう事をしてはいけない』という批判があった」との点だった。私は「不覚にも政治家というか議員は、我々の上に立っているのだとは知らなかった」と大いに反省した。残念ながら私には彼等国会議員たちが非常に優れた人たちの集まりだという認識はない。有権者として適切だと思う候補者に一票を投じただけだと思っている。

俗に言うではないか「政治家に自分たちよりも上の能力があるとか見識があると期待するのは誤りだ」のように。だが、バイキングのお陰で、「それにも拘わらず広島では純情にも河井夫妻が自分たちの上に立ってくれる優れた人たちだと期待して選んでいたのか」と知り得たのだった。私は今でも河井夫妻は自分たちが公職選挙法に反する行為をしていなかったと確信しているのだろうと本気で疑っている。そうでもなければ、あれほどの規模で、あれほど単純な行動には出なかったのではなかったとすら考えている。

次にこの事件で思った事は、何かこういう種類の案件が出てくると野党もマスコミも決まって「説明責任」と「総理の任命責任」を言い出すことだ。この二つがマスコミ用語なのか政界の用語か知らないが、非常に空疎なものだと思っている。仮に、河井夫妻が説明責任とやらを果たすべく記者会見を行えば、恐らく結果的には「斯く斯く然々の目的と根拠があって方々にお金を配りました」と語ることになってしまうだろうと思うのだ。それでは「自白」と同じだ。そんなことをするほど、何も河井夫妻に限ったことではないが、疑いをかけられた議員がペラペラと語る訳がないと思う。

「任命責任」云々というのも虚しいもので、安倍政権誕生以来総理は何人の「任命責任」とやらを追及されて、如何なる責任を取られたかという事だ。18日の記者会見でも「国民の皆様に謝罪する」と言われたが、そこまでの事だ。東国原英夫は「総理は責任は二階幹事長と菅官房長官が半分ずつ背負うべきだと、心中で思っておられるだろう」と揶揄するように言っていたのも印象的だった。私は以前にも指摘したが「安倍総理は人を見る目に些か疑問がある」と思っている。近い例では菅原一秀や桜田義孝等々を挙げられると思っている。

私は察するに、東国原英夫は「総理は衆参両院を合算して何百人からいる議員たち全部の評価に目が届いていないのでは」とでも言いたかったのではないかとすら考えながら聞いていた。私は政党という組織の中で頂点に立つ総裁なり代表なりが、全部の議員か党員の能力や見識や人となりを心得られるように、企業の人事部のような部門でもあるのか知る由もないが、安倍総理兼自民党総裁は人事面では疑問があるように思えるのだ。それが長期の政権である為の「気の緩み」か党内にはあの程度も人物が多いのかとも考えてしまう。

私は未だに第二次安倍政権では最初に任命された閣僚が最善であって、それ以降内閣改造をされて派閥順送りか当選回数で選ばれたかなど知らないが、閣僚に取り立てられた連中の質が明らかに劣化していると思う。と言う事は、衆参両院で過半数を獲れば、余程確かな目で選ばれない限り、上澄みの層から閣僚を選びきってしまえば、後は並み以下の人物しか残っていないという事だと見ている。政治評論家の中には総理の側近と言われている補佐官等の質にも偏りがあると言っている。何れにせよ、任命と説明の責任を云々される人事を繰り返されていると思えてならない。

マスコミが揶揄するように言う「安倍一強」を謳歌しておられるのであれば、党内の事情に配慮されるような事なく、これと評価される人物をのみ選んで閣僚に任じられるか、党内の重要な地位に就ける人事をやって欲しいのだ。我が国でもアメリカでも企業の経営者は社員が何万人いようと、適材を適所に付ける人事をしているではないか。ジョージ・ウエアハウザーは5万人もいる社員の中で東京事務所の私の顔も名前も所属する部門をチャンと承知していた。ジョージの2代後のCEOも、私の後任者とファーストネームで呼び合うほど社員の顔も名前も承知していたと聞いた。

ここまで安倍総理と結果的には自民党を批判しているかの如きだが、決して自民を降ろそうなどと意図はない。俗な言い方をすれば「第二次安倍政権を成立された頃のような初心に戻って頂きたい」と願っているのだ。私は現在の安倍内閣には些か不安な点があると思っている。だが、仮令天地がひっくり返ろうと、何年だったか前の民主党政権の再来など望んでいないのだ。あの3年間はまさしく悪夢だった。その悪夢を払い今日の状況に持ってこられたのが安倍政権だ。迷うことなく政権を正常に維持する事に全力で専念して頂きたいのだ。