私はアルコールにかぶれる体質なので:
COVID-19が何処かの国から侵攻してきて以来、日本中の至る所で先ずは備え付けのアルコールの噴霧器(と言うのだろうか)で両手を消毒する儀礼が普及している。実は、この消毒は私にとっては拷問とまでは言わないが非常に辛い儀式なのだ。
その理由は、私はアルコールにかぶれる体質だからなのだ。そうだとは2015年だったかの入院の時に初めて解った。何回も行われた点滴の後に腕が痒くなってしまうのだった。その痒さが遂には耐えきれないほど辛くなって、看護師さんに訴えたのだった。そして、何らかの検査をされ、かぶれる体質と判明し、ベッドの上の壁に大きく「禁アルコール」と書いた上が貼り出された。更に、アルコールではない薬剤での消毒となり、カルテにも表示されるようになったそうだ。
看護師さんに「貴方はお酒に弱いのですか」と訊かれた。若かりし頃は業務上の接待等の場ではある程度は飲めていたが、40歳の半ばに達した頃にはアメリカ人たちは「弱い」と認めてくれて「何か飲むか」とも言わなくなっていた。60歳を過ぎてからの経験では、ビールをコップに半分も飲んでいない状態で失神したことがあった。要するに、体がアルコールを受け付けないのだった。
飲んではいけないとは知っていたが、消毒のアルコールでもかぶれるとは想像もしていなかった。そこに新型コロナウルスである。自分の体質を忘れて従順に至る所で「シューッ」とやっていた。気が付くと両手があれ放題で悲惨なことになってきた。そこでやっと気が付いた「禁アルコール」だったと。そして、暫くは無視していたが、そうとは行かない場合が多いので、何とか「やった振り」で凌いでいた。
この事態を何とかせねばと、掛かりつけのクリニックの先生に訴えてみた「どうすれば良いのでしょうか」と。先生は「アルコール消毒とはそもそも細菌を処理するのであり、ウイルスを退治するかどうかは疑問だ。だから、何とかやった振りで対応しなさい」と教えて下さった。また、「かぶれ」対策は処方箋で出る「ヒルドイド」を塗って対応すれば良いと言われた。そこでチューブ入りを2本出して頂いてきた。他には「ドレニゾンテープ」を貼っておくのも良いのだそうだった。
東京山手メデイカルセンターの玄関では、アルコール噴霧の所に立って監視しておられる女性に「かぶれますから通過させて」と願い出ると、アルコールではない薬剤を持ってきて消毒して貰えた。このような配慮を方々でして貰えれば、罪の意識がある「やった振り」をしないで済むと思うのだが。