1日夜の対サウジアラビアのサッカーは我が代表が勝って当然の試合内容だった:
後難を恐れずに言えば「昨夜のサウジアラビアに2対0で圧勝した試合は、森保一監督の指揮の下の我が国のA代表の試合で初めて見た満足がいく勝ちっぷりであり、選手たちに『勝って見せよう』との気合いが満ち溢れていたのもとても良かった」となる。私はサウジアラビアが辛うじて1本のシュートを放てただけかと見ていたが、記録上では2本だったようだ。それほど、我が方の守りは吉田と富安を欠いても、しっかりと役目を果たしていたのも非常に良かったと評価した。
この試合は始まる前に「我が方が勝つ」と閃いていたのだったが、前回の敵地での我が方独得の無意味なバックパスの失敗から1点を取られた負けた試合内容を見ていないので、サウジアラビアの力量を測りかねていた。だが、「51位が26位に勝てたら、おかしくはないか」と「何故51位如きが予選リーグを7戦全勝で来たのか」と不思議に思っていた。
そこで試合が始まってから見ていると、サウジアラビアのサッカーは単なる「身体能力と体格依存」のサッカーであり、何らの「学」がある訳でもなく「独自の決める形も整っていない」と直ぐに解った。マスコミが示していた「我が方の敗戦への懸念」は杞憂に過ぎないと確信した。そこで、残された問題は「我が方の得点力」だけだろうと、殆ど安心して観戦できていた。
滅多に褒めないのが私の戦評の特徴(問題点?)だと危惧するが、昨夜の試合振りは褒めることだけしか出来ないのだ。先ずは散々貶してきた伊東純也から。言うなれば「彼は一戦毎に上手くなり、進歩してきたと思う。松木安太郎はしきりに彼の俊足を賞賛するが、昨夜は「如何にしてその足の速さを活かすか」への工夫が出来てきたので、前半のキチンと中を走ってきた南野に合わせるセンタリングが出来たし、後半のあの思い切りが良い正確なシュートで加点できたのだと見ている。この試合のMVPだっただろう。
一昨日に読む機会があった杉山茂樹という人の評論では、「彼の時代が終わった」的に批判されていた長友佑都の頑張りというか、あるいは奮起かも知れない奮戦振りも良かった。矢張り世界的に場数を踏んできた長友の勘所を心得た守備と攻撃参加は、未だ未だ若手が以て範とすべき力が維持されていたと見た。彼があの気力を持続して(SDGか?)吉田と富安が復帰するだろう3月27日のオーストラリア戦では、酒井宏樹も健在であれば「守りも万全で勝ってくれるだろう」と期待できる。
彼らの「やる気」は中盤やペナルティエリアに近付いてからの後方への責任逃れのパスや、自分で抜いていこうとしない消極的な動きが少なかったことにも現れていたと思う。遠藤航が指揮していたと見えた中盤からの攻め上がりと果敢な守備振りも良かった。となれば、残すは矢張り得点力だ。それは不思議な能力で、相手が74位の中国でも51位のサウジアラビアでも2点しか取っていないのだ。しかも、中国の1点はPKだった。
ここで初めて腐すのだが、清雲氏だったかが取り上げていた「大迫と南野不要論」を考えて見たい。私は以前から大迫不信論者だが、彼はゴールゲッターではなく、ミッドフィルダーの動きしかしていないと言うべきか、それにしか向いていないと思う。多くの解説者が「繫ぐ」とか「ポストプレーが」などと言って褒めるが、それは「ゴールを執拗に狙うべきポジションにいる者の役目ではない。考え直すべし」が、私の持論であり、大迫不要論の概要だ。南野は「やる気が表に出てこない」のが欠点ではないのか。
昨夜のサウジアラビアが完封された無策なサッカーを見ていて痛感したことがあった。それは「アジア地区」とFIFAに無理強いされた不当な予選の区割りにある各国の「サッカーの水準(「レベル」なんて言わない)の低さである。あの程度のサウジアラビアを首位に立たせていたとは、ヨーロッパや南アメリカの諸国から笑われると思う。「あの程度の連中に勝つための訓練をしていてどうする。もっとより高い所を目指せ」と言いたくもなる。
同時に、FIFAに言いたいことは何時も同じだが、「自分たちが持て余したからと言って、地域から見てアジアに中近東の諸国を押しつけるのを止めよ」なのだ。イスラム教国であり産油国である彼らの何処かアジアなのかだ。彼らだけを独自の区域として独立させるべきだと思っている。アジア地区は精々中国、香港、台湾、韓国、DPRK、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアに我が国くらいであるべきだ。オーストラリアは英連邦なのだから、北米にでも入れた方が良くはないのか。
私は昨夜の出来であれば、往年の荒々しさが消えてパス回しのサッカーに転じて、未だ道半ばと見たオーストラリア戦は突破できるだろうと希望的に観測している。しかし、その為には伊東純也しかいないように見える決定力を何とかせねばなるまい。私は「足が速い」という能力が先に立ってしまうだけで、サッカーが決して上手ではない浅野や前田は未だ未だだと思っているし、大迫の動きには疑問が残るというような諸問題の解決が、W杯への道だと見ている。