15歳の少女を追い詰めてボロボロにしたのは誰だ:
これまでの所、IOCではなくて中国が主催している北京の冬季オリンピックでは、私が言う「恙」が連日のように発生している。私はその中から既に審判員の質というか疑惑の判定と、高梨沙羅さんを失格にした着衣の検査を「恙」の一例に挙げた。だが、一部の新聞や週刊誌が問題にしている疑問点は遙かに多岐にわたっている。その中でも際立っているのが、昨日の女子のフィギュアスケートで最有力の優勝候補だったミカエラ・ワリエワさんが何度も転んで4位だったことだろうと言いたい。
IOCの失態:
IOCは既にWADAのドーピングの検査の結果に基づいて、ロシアを国としての出場を禁じてあった。そこに、遅ればせながらワリエワさんの昨年12月だったかの検体からも禁止薬物が発見されていた。それならば、前例に従って彼女を出場禁止にすべきだったにも拘わらず、IOCはロシアからの抗議に屈してCASに任せて逃げてしまった。その責任回避の姿勢を私は既に批判しておいた。私はIOCが即刻禁止の措置を執っておけば、あのような可哀想なことにはならなかったと思っている。
ところが、CASは年齢を理由に出場を認める判定を下してしまった。ところが、その前後からマスメデイアはこの件を大きな話題にして報じてしまったし、練習の前後にワリエワさんを追い回していた。彼らは15歳の少女に、彼らは正当な取材だと言うだろうが、彼女にとっては途方もない圧力となっただろう攻勢をかければ、カタカナ語に言う「メンタル」がズタズタにされてしまうことくらい解っていたはずではないのか。私は彼らがそこまでやるとは予期していなかったので、ワリエワさんがあれほど無残なスケーテイングをするとまでは読み切れていなかった。
ロシアの監督・コーチ陣の失態:
私には彼らは何とかしてワリエワさんを試合に出させて確実視されていた「金メダル」とやらを獲らせる手柄を立てたかったのだろうと推測している。本当にそういう気があったのならば、何故もっとしっかりと15歳の少女を守ってやらなかったのかと疑問に思っている。いや、その前に「出場させない決断が出来なかったのか」と責めたいのだ。尤も、デイリースポーツによれば、あの試合後に泣き崩れていたワリエワさんを取り囲んでいたコーチたちは「何故ちゃんと出来なかったのか」と責めていたのだとあったが。私は論外な態度だと思う。
バッハ会長の責任転嫁:
ここもデイリースポーツの報道に基づいている。バッハ会長はワリエワさんがあのようにスケーテイングが乱れてしまったのは「ロシアのスケーテイングテイームの管理職の不行き届きである」と所謂「スタッフ」の責任に転嫁しているそうだ。私も監督とコーチを含めたスタッフの責任であるという点は同感だ。
だが、私は「看過出来ない重大な問題点はドーピングだったとの検査結果が出た時に、時間の無駄をせずに出場禁止の断を下せなかったIOCと会長様の責任は何処に行ったのか」という点を問題にしたい。私の永年白人の世界にいた者として言いたいことは「バッハ会長がこの期に及んで、他者の問題点を責めることで、自己の責任回避を図っているのではないのか」なのだ。
更なる推理を展開すれば「そういう事を言う以上、バッハ会長は自らの責任を感じているのではないか」となる。この件も主催国である中国には責任は及ばない気がする。でも大いなる「恙」だろう。