岸田文雄内閣総理大臣が直面する諸問題:
これまでに何度か岸田文雄内閣総理大臣を語ってみようかとは考えて見たが、どう批判しようと思って見ても捉まえどころがないというか、何処から入っていけば良いのかが見つからずに先送りしてきた。思いつくことと言えば、菅前首相が「岸田には出来ないよ」と岸田氏では総理大臣の職は無理だろうと言われた事を、何処だったか週刊誌が報じたことか、自民党内部でも「あの何が言いたいのかサッパリ焦点が定まっていない演説ぶりでは」と貶されていたという話くらいだった。
岸田総理も就任後早くも4ヶ月にもなるのだが、野党は兎も角反政府のはずのマスコミが意外に貶していないし、そう頻繁に揚げ足を取る傾向も見えないのだ。尤も、何か方針を打ち出しても批判されるや否や一夜にして改訂してしまうとか、ワクチン接種の3回目がもたついているとの声が上がれば、早速1日100万回指令を出すなど後手と言うよりも、何事につけても確固たる方針が定まっていない等々は不安材料だ。
そこにYouTubeの「高橋洋一チャンネル」で人気が高いと聞く、高橋洋一嘉悦大学教授(元は大蔵省ご出身)が新著「岸田首相の新しい資本主義で無理心中させられる日本経済」を宝島社から上梓された。それについての経済学者・田中秀臣氏の書評が週刊新潮に載っていた。書評だけ読んで「なるほど、流石に高橋氏だけあって岸田総理の問題点を鋭く指摘してあるな」と感心した。
田中秀臣氏の読後感は「岸田政権のグダグダで方針のハッキリしない政策を徹底的に批判する快著だ。ワイドショーなどマスコミでは、岸田政権への批判の声は聴かない。例えば新型コロナワクチン追加接種は先進国でダントツで遅れている。慌てて「一日100万回接種」を打ち出すが、オミクロン株は猛烈に拡大し、既に手遅れだ。(中略)」から始まっている。
締めくくりは「新しい資本主義という具体的な中身に乏しい経済政策のビジョンや中国びいきのスタンスをみると、岸田政権は過去の民主党政権に近い。このままでは悲惨な結果を日本経済にもたらしかねない。本書のメッセージは実に鮮明だ。」となっている。
そう言われて見れば、その通りなのかも知れないが、発足して半年にも満たない岸田政権である。ここで酷評して覚醒して奮起して貰うことも必要だろう。だが、我が国は何処かの国に押しつけられたと雖も、橋本徹氏も言う何かと手数がかかる民主主義を信奉する国であるから、仕方がない面もあるのでは。岸田政権は今や眼前にウクライナ問題と、それに対応すべき西側諸国との連携という重大な問題を抱えてしまった。経済政策だけではなく、外交方針の面でも悲惨な結末に至らないように最善の努力を期待したいのだ。