新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月28日 その3 「世論」という名のマスコミ論調を考える

2016-01-28 08:30:53 | コラム
木曜日は週刊新潮と文春の発行日:

私はこれらの2誌を必ず買って読むようにしている。それは新聞もテレビも信用するには難があると思い込んでいるからだ。そこで、現在のように既に実務の世界から身を引いた高齢者では何を信ずべきかに迷うので、これらの週刊誌がテレビや新聞の醸し出す「世論」と多少以上に違う視点から見ており、週に一度という発行故にその日暮らしの報道機関よりも(この度の甘利大臣関連の報道には多少疑念は抱くが)深く掘り下げているようなので、三つの機関が言うことを総合すれば本当の形に少しは近づけるかと考えている。

何故これらの2誌しか買わないのかとお尋ねか。それは最早それだけの資金力がないからだ!

お断りしておくが、私はマスコミが好んで用いる「真実は一つ」は全く信じていない。これは年来の持論だが「出来事が一つ」であって、その出来事を「年功経験」、「依って立つ視点」、「思想信条」、「社会的地位」、「企業内の偉さの順番」、「国際経験の有無」、「直接か間接の立場か」等によって見え方、受け止め方が異なって来るのであって、それぞれの目に「真実」だと見えているだけだと考えている。自分に見える出来事を「真実だ」と押しつけられては困るのだ。

即ち、新聞記者が「真実」だと思うことが、週刊誌(出版社の記者)とは違うし、テレビのような画像が見せるものとも異なるのであるから、どれを信ずべきかを判断するのは容易ではないはずだ。だが、一般人には未だ未だ新聞やテレビを信じたい傾向が残っていると思っている。そこに、今回のように野党が居丈高に国会で質問すれば、その画像と岡田克也氏のような声高の質問に迫真力が出てしまうものだ。現在では野党が「世論」を形成しつつあるのではないか。だが、彼らが週刊文春の記事に則っているのであれば、極めて危険な世論形成ではないのか。

何が「真実か」を誰が何時何処で明らかにするかは、読者や視聴者の判断能力にもよるだろう。と言った以上、矢張り週刊文春を買いに出て行くしかないのかとも考えている。だが、それが「出来事」の実態に近づく唯一の方法ではないと思っている。さて、本日甘利大臣は記者会見で何をどう説明するのだろうか。それは彼が調査したか、彼の目から見る真実だろうが、野党やひょっとしてマスコミが望むものではないのではないか。


1月28日 その2 甘利大臣は嵌められた

2016-01-28 07:57:57 | コラム
「頂門の一針」第3912号で池田元彦氏が:

<集られたと本気で告発するなら、相手は警察だ。それを週刊文春に膨大な 証拠を渡し、事細かく説明し特ダネ献上するのは、甘利大臣をターゲット に選び、最早独走体制にある自民党を混乱させ、7月の選挙での大逆転を 画策する一味かその回し者、或は支援する工作スパイしかいない。>

しておられるのは全くその通りだと思っております。野党も週刊文春の記事を元にして色々と難癖を付けているのは自らの調査能力と情報収集能力の欠如を問わず語りしているとしか思えません。しかし、事態は野党の批判をしていれば済むようなものではないようなのが極めて遺憾です。安倍内閣の危機かとすら考えております。

甘利大臣の「続投」とは何だ

2016-01-28 07:55:03 | コラム
「続投」とはマスコミの野球用語ではないか:

私はテレビでも新聞でも「留任」か「辞任をさせない」か「辞任せず」という意味のことを言いたくて「続投」という野球で投手を「危機に当たって替えずに続けること」を意味するマスコミ用語(と敢えて言うが)を使うのは気に入らない。また、彼らは「降板」という言葉も使う。これは”pitcher’s plate”を「投手板」とした訳語から来ていると思っている。何で野球用語がそれほど有り難いのかと問いかけたい。

今回の甘利大臣に対して向けられた疑惑の報道についても、安倍総理は「職務に専念させる」と言われたが「続投させる」などという俗語は使われていない。何故、「留任させる意向の表明」といったような具体的な記述が出来ないのか、不思議に思えてならない。近頃は何でも「揉め事」か「故障」に属するような出来事をカタカナ語の「トラブル」で括ってしまうのは彼らの語彙の貧困さを示すものであり、同時に罪なき一般人の語彙をも貧弱にして表現力を低下させるだけではないか。


サッカーのUー23代表がオリンピックに

2016-01-27 07:23:26 | コラム
イラクに勝ってオリンピック出場権を獲得:

冷静な評論家は午前12時を過ぎるまで起きているのは嫌だなと思いながら、26日夜のオリンピック予選の準決勝の対イラク戦を見ていた。後半になって1対1のまま3分間の「ロスタイム」とやらに入った時には既に27日で、「この間に我が代表が得点して勝てるのではないか」と閃いたが、その通りになってしまったのは誠に結構な事態だった。矢張り我が「閃き」も捨てたものではないと自画自賛した。

前半にイラクの不正確なパスのインターセプションに成功し、鈴木武蔵の前に深いパスが出た時は風下だから追いつくかも知れないとは思った。追いついた時には中を見ると久保一人しか上がってきておらず相手は二人だったので、余り期待しなかった。しかし、鈴木が左サイドから低く中に蹴り込んだ時にややオフサイド気味に見えた久保が二人の間に走り込んで、私に言わせて貰えば逆の足である右で綺麗に決めてくれた。26分だった。

その後はこの世代も持つ我が国のサッカーの良くない点ばかりが目立ってイラクに攻め続けられた。そして、解説の鈴木昌邦が要警戒と言ったイラクの右からのコーナーキックを戻っていた鈴木がヘデイングでクリヤーし損なった為に失点して、同点に追いつかせてしまった。私が言う良くない点とは、後ろから来たパスのトラッピングの拙さ、「球際」とアナウンサーが叫ぶ競り合いの弱さで相手に球を奪われてしまうこと、一歩の出足が遅いこと、セカンド・ボールと言われるこぼれ球の80~90%を取られてしまったこと等が目立った。

それでも何とか防ぎ切ってあの劇的な、言わば2分59秒の時間切れ寸前に決めたことが、このUー23代表の実力だったと評価しておきたい。イラクは中近東独特の反則で守り、スローインの場所を誤魔化す等に加えて縦一発的なパスを多用して攻めてきた。だが、決定的な攻めの形を持っていなかったのが敗因だっただろうとみていた。ここでも触れておきたいことは審判の笛の拙さで、冷静な評論家には誤審と見えた判定が多く、それが全て我が方には不利に働いていた。それらの点を乗り越えての勝利は是非とも褒めておきたいものだ。

これでオリンピック出場権(何で「切符」と言うのだろう。確かに”ticket”にはアメリカで大統領選の公認候補に選出された時にこういう言葉を使うが)を得たのは大変結構だったが、決勝戦の相手は何とまた韓国である。彼らは我が国が相手となると異常とでも言いたい強さを発揮する。折角ここまで来たのだから、ここでも勝利して掉尾を飾って貰いたい。良くやったUー23代表の諸君。

YM氏と懇談した #2

2016-01-26 13:21:08 | コラム
アメリカの経済を考える:

昨日採り上げたYM氏との語り合いで採り上げたアメリカの景気をもう少し詳細に論じてみた。

YM氏にアメリカの景気動向の見方を尋ねたところ、私の長年の主張である「ロッキー山脈が東と西の経済圏を分けている」と同じで「アメリカは広過ぎて地域ごとに景気の様相が変わる。特に西海岸と東海岸では別の国の如くである場合すらある」と言う。つまり、『アメリカの景気』として一言で語るのは無理だ」ということ。その通りだと思う。私は以前にアメリカの経済はロッキー山脈の東側が70%で、西側が30%と指摘したことがあった。

我がW社はその所有する森林が主にアメリカ西北部のワシントン州とオレゴン州にある為、その製品を材木であれ紙パルプであれ、ロッキー山脈を越えて中西部から東部に売るのは輸送経費の面から見ても合理的ではなかった。即ち、所謂”Pacific rim countries”に向けて輸出するのが最も理にかなっていたし、その国々の中でも我が国を主たる販売先としたのは当然だった。

W社の本社があるのはワシントン州で(ワシントンDCではない、念のため)私の長年の馴染みだった西海岸地域にはカリフォルニア州のナパヴァレーのようなところもあるが製造業が弱く、輸出品目にしたところで私の在職時には木材製品や紙パルプが主体であるかの如くだったし、動物の飼料である干し草やフレンチフライの素材といったような一次産品に属するものばかりだったものだった。

この辺りを上智大学経済学部の緒田原教授(当時)が「それではアメリカはまるで我が国の植民地のようではないか」と評したのが忘れられない。東海岸からの日本向け輸出が輸送距離と航海日数等で不利な面が多く、対日輸出が不振なのは我が国の責任ではない面が多々あるが、為政者にはこういう実態が解っていないのか、知っていて知らん振りで「輸入を増やせ」と押しつけたのかまでは私には解らない。

アメリカの嘗ての自動車メーカーの本拠地だったデトロイトは五大湖の下のミシガン州にある。そんな場所から極東向けに売ろうということ自体が既に輸送面でハンデイキャップを背負っており、それに加えて質の低い労働力で生産するのだから、自動車産業が国際市場での競争力を失ったのは仕方がなかったのではないか。また、アメリカの大手製紙会社、例えば世界最大のInternational Paperは主力工場が全部東部か南部にあったので、極東向けには西海岸まで貨車輸送するか大西洋岸のジョージア州サバナ(Savannah)港から積み出すしか手段がなかった。

ボーイングは我が国向けには最大のメーカーの一つだが、最後の仕上げをする工場はシアトル空港の北にある「ボーイング・フィールド」なのだ。そこから出荷するといっても船積みする訳ではなく空を飛んでいくんだから、何のハンデもないのだ。また、アメリカは中国の製紙産業向けには世界最大の古紙のサプライヤーである。だが、その積み出し港は西海岸以外にニューヨーク港もあるのは面白い現象だと思っている。即ち、中国の製紙産業が不振になればアメリカの古紙業界も低迷するということだ。

以上、やや雑ぱくに纏めたが、アメリカの経済というか景気の消長は西と東かまたは南部と分けて論じる必要があると言えるということだ。