ウクライナ対ロシアの問題:
私は目下進行中のこの全世界にとっての大問題については、マスコミ報道以外の情報源などない。そう断った上で言ってみたいことがある。それは、あの動乱(と、これまで表現してきた)について1ヶ月ほど前だったかに、畏メル友のRS氏に「この件については100%、ロシアそれもPutin大統領が悪いのであり、ウクライナ側には一点の瑕疵もないのだろうか。だが、世間の空気では『ウクライナには悪いところが皆無なのか』などと疑うのは許されないだろうと感じている」という見方を披露してあった。
しかも、その後には空気どころではなく、マスコミ報道によれば「ロシアという悪の専制主義国対善意の民主主義国群」という図式になってきていた。更に何事についても「慎重に検討する」岸田総理もロシア制裁に踏み切っておられたのだった。何も知らない私には、世間の空気は何か気味が悪いほどに徹底した「ロシアは悪者」になったと感じさせられていた。私は密かに「交通事故でさえ、滅多に10対ゼロ」という100%被害者に瑕疵はないとの判定はない」のにとも感じていた。
我が国には古き言い方で「盗人にも三分の理」や「喧嘩両成敗」というのがあるではないかと思っていた。断っておくが私には「ロシア擁護する意図」など毛頭ないし、飽くまでマスコミ報道からしか事の実態を読み取れないのであると言っているのだ。私にはロシアとあの大統領だけが間違っているという世論が形成され、そういう論調一色なのか怖いと感じただけだ。
そこにPresident誌の22年4月29日号に大前研一氏の連載コラム「日本のカラクリ」にはミンスク合意を引用されて、
「ところが19年に大統領になったゼレンスキーは「あの合意はウクライナが不利な条件を押しつけられたもの」と公然と言い出した。苦労して調印した合意を反故にするのだから、プーチンからすれば、大馬鹿野郎だろう。ロシア政府は「ウクライナが(東部の自治州)の自立を認めない独立宣言させる」と決め、プーチンは侵攻の一週間ほど前にこれにサインした。ゼレンスキーはすぐに自治権を与えていれば、あるいは当事者であったメルケル前独首相がすぐに仲介に動いていれば、プーチンも侵攻するほどイライラを募られることはなかったであろう」
と指摘されていた。
また、宮崎正弘氏の「宮崎正弘の国際情勢解題」の4月8日号(7292号)には
「ミンスク合意を守らなかったのはゼレンスキーブタペスト覚え書きには、ウクライナから核を撤去するが、その代わりに ウクライナ領土の保全、独立と主権は米英露の三国が保証するとして 1994年に締結された。フランスと中国が後日、加わり、国連安保理事会常任理事国五カ国が揃い踏みとなった。このブタペスト合意は、2014年のロシアのクリミア併合 で反古となった。西側のプーチン批判の原点は、ここにある。ミンスク合意(ミンスク議定書)を守らなかったのは、こんどはウクラ イナ政府であり、ロシアが声高にゼレンスキーを批判する根拠となっている。」
との見解が記載されていた。
私が思うには「大前氏や宮崎氏のような有識者はチャンとこれらのような問題であろう点を指摘しておられたのだから、報道機関もこのミンスク合意破りのような事実を報道してくれていても良かったのではないのか」ということなのだ。敢えて申し述べておけば、ウクライナ侵攻においてロシア兵やワグネルのような組織が蛮行を犯したのであれば、それは如何なる表現をも用いて非難されて然るべきだと思っている。西側の諸国がその国際法違反を捉えて、被害者であるウクライナを支持し、加勢するのも理があることだと思う。
だが、「ロシアは悪。Putinは狂気か」のような問題点を中心にして朝な夕なに報道されては、私のような一般の視聴者や読者はミスリードされるのではないのではないのかと危惧するのである。