Fish On The Boat

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『徳川将軍15代 264年の血脈と抗争』

2013-11-10 23:17:20 | 読書。
読書。
『徳川将軍15代 264年の血脈と抗争』 山本博文
を読んだ。

そのタイトルの通り、徳川15代将軍それぞれの跡の継ぎ方を主として
徳川家を説明する本です。
誰がどんな女性を正室や側室に迎えたり手をつけたりして、誰が生まれて
どこへ嫁いで行ったかとか、跡を継いだかとかばかりで200ページが過ぎていく本です。
しかし、読んでいて、江戸時代の流れというのはやはり将軍が中心なので、
そういった血脈と抗争の歴史が十分に江戸時代のある意味では中核として見てとれるんですよね。
まぁ、庶民の側からも江戸時代をみてみなければいけませんが、
政治だとか諸大名や朝廷などとの関係は、こういった血脈の部分からしかわからなかったりします。
また、そういう血筋の良い女性ばかりを大奥に入れて手をつけていたのではなく、
そこかしこから気に入った女性、たとええば農家の女性や町民の女性、旗本家の女性などに
来てもらって手をつけることも茶飯事だったみたいですね。
そうして、11代の家斉は、53人の子どもを作ったようです。
本書では著者が、そんな家斉に対して「慎みのない行動を」とたしなめた様なことを書いていたりします。
僕の知識では、大奥に似たものには、中国の後宮を思い浮かべるのですが、
たとえば漢の時代の景帝は家斉くらいの子だくさんで、三国志の主人公劉備は、
そんな景帝の子孫ということになっていたりします。
しかし、子だくさんだと、どこに嫁にやろうかとか婿に出そうかとか大変だそうで、
持参金の問題もあって、こういうところで幕府の財政は疲弊したようですね。

家康の時代はドンと構えながらも神経をとがらせている感じで過ぎていき、
吉宗くらいになると、なんだかほんわかした平和の中でのいざこざといった感じがしてきて、
幕末になると、もう現代のような神経の使い方で気ぜわしく、
もう世の中がうまくまとまらない感じの中での徳川家の話になっていました。
264年の長きにわたった幕府ですからね、そういった空気感の違いって出てきますよね。
それにしても、夭逝した子どもたちが多いです。
昨今の平均寿命の伸びは長寿化もありますが、子どもの死亡率の低下が大きいなんて言われますよね。
そして、15代も将軍がいれば、おっとりしたのも名君も言語に障害があるような人も出てくる。
一つの家系をずっとみていくと、平均してそんなものなのかなと思ったりもします。
健康体ばかりが輩出される家系があるならば、すごいですよね。
医療の進歩で、そういう家系が今後増えていくのでしょうねぇ。

本書は、江戸検定試験に役立つ本に認定されているのかな?
そんな印が付いた本です。200pちょっとでまとまっているので、読みやすかったです。
あとがきには、15代慶喜以後、16代当主となった家達以後のこともちょっと書いてありますので、
興味のある方はそこも含めて楽しむと良いでしょう。


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