Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『街場のメディア論』

2012-06-19 23:18:28 | 読書。
読書。
『街場のメディア論』 内田樹
を読んだ。

テレビ、出版、新聞、音楽…。
そういったマスメディアが衰退していっている昨今、
その意味をときあかしていくのが本書です。

大学のメディア論の講義をまとめたものなので、
語りかける感じで進んでいきます。

第一回の「キャリア教育」では、
これこそ、メディアの世界で生きていこうとしている大学生を対象に、
まず、その前段階である、仕事というもの、適性というもの、の説明から入ります。
仕事が適性に合っていない、自分の能力がここでは発揮できないというようなことで
仕事を変えていくのは間違っている、仕事とはそういうものではないと著者は述べます。
そしてびしっと彼なりの答えと理路を教えてくれます。

そんな感じで、著者はメディアについて深く考えて、
かつ時間をかけて頭の中で熟成したものをある程度咀嚼して
述べてくれているのが本書です。

医療問題や教育問題の原因もメディアにあるだとか、
そういった、「え、どうして?」と思うところでその理由を正々堂々とストライクゾーンに放ってくれる。

メディアと聴いて連想するものは、僕を含む凡人にはすごく狭い範囲のものでしょうから、
本書の内容をタイトルだけから推測するのは難しいものだと思いましたので、
キーワードをいくつか書いて、そこからこの本の中身を想像してもらうことにします。

メディア、キャリア教育、医療問題、教育問題、クレーマー、正義、著作権などなど。

最後の方で、書架の話になるのですけれど、
そこでの内田さんの書架に対する自分自身の心理や、
書架を見せた相手の心理の説明を読むと、
けっこう人間全般というものを業が深いものだととらえているフシがありました。
内田さんの周囲にそういう人が多いだけの気がしないでもないのです。
大体、本を読まずして人ではないなんて、きっと酔っ払ったらいいそうにも感じましたから。
僕の周囲なんて、本を読まない人だらけです。
そういう人の方が断然多い。
世界の違いがいろいろあるだろうに、
僕の住んでいるような世界は切り捨てられているなぁと少しく残念に思いました。





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『フリーメイソン』

2012-06-08 21:47:22 | 読書。
読書。
『フリーメイソン』 荒俣宏
を読んだ。


アウトラインみたいなところだけかもしれませんが、
秘密結社フリーメイソンのその秘密がここまで明らかになっているんですね。

作家、ダン・ブラウンの大ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』や
『ロスト・シンボル』で取り上げられているのがフリーメイソンだそうで。
僕は『ダ・ヴィンチ・コード』は劇場で観たのですが、
そのへん、ピンとこなかったですからね。
ただ、キリストの子孫がどうのこうのというところにだけ注目していました。

そんな僕にも面白く読めたのが、この荒俣宏さんが著した本書です。

アメリカの1ドル札がフリーメイソン的なシンボルでデザインされているだとか、
白人社会の見えないけれど重要な部分を担ってきたのが、
フリーメイソンという組織だったと、断言しても良いかもしれない。
そして、それはきっと今も続いている。

フリーメイソンはたしかにオカルト的な影響も、その成立が中世だったこともあり、
受けているようではありますが、基本として、宗教などに縛られない、
自由な思想や議論のための集会にあてがわれた組織らしいんですよね。

ただまぁ、卑怯なのが、そういう、見えない秘密の組織でありながら、
現実にいろいろと干渉していることでしょう。
闇討ち的コミットメントで世の中を動かそうとしていそうな感じ。

そんなわけで、本書はその歴史を主に解き明かすものとして書かれていました。

フリーメイソンが「優良な、友愛会ですよ」というのが真っ赤なウソの仮面であったときには、
嫌悪し、中指を立てて戦うべき相手になるのでしょうが、
どうも、その規模とネットワークと深度というものが手に負えなさそうでもありますので、
お手上げになるしかないような気がしますね。

それでもやはり、過度なフリーメイソン流の自然科学探求の度を越して、
一般市民にまでちょっかいをかけているような事態にでもなるならば、
そこはだれかが考えねばならないでしょう。
国家の中枢とかにもいそうですしね、フリーメイソン。

…とうがった目でみればこういう意見になりますが、
要は、いろいろな仕事をしている人たちのカテゴリーを越えた集まりなわけで。
フリーメイソンに限らずありますが、他業種の人たちの集まりの中での意見交換、
価値観を磨いていくというような、そういう場なんでしょうね。

まぁ、入っていなければわからない、ブラックボックス。
そして、入ってしまえば口外できない秘密を背負う。

あまり関係は持ちたくないですね。


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