Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『内臓のはたらきと子どものこころ』

2013-04-27 10:05:14 | 読書。
読書。
『内臓のはたらきと子どものこころ』 三木成夫
を読んだ。

糸井重里さんがたびたび推薦される本です。

内臓感覚がこころを産むものだとし、その内臓というものは、
人体が小宇宙と呼ばれるように、宇宙のリズムを抱えたものとする。
となると、こころというものは、宇宙の意思ではないか、とも読めてしまう。

この本は1982年に発行されたもので、今から約30年ほど前のものです。
そのため、この本に書かれているようなことが、たとえば学校の先生の口から、
またはテレビから、目や耳に入ってきたことがあるなぁと思い出すこともしばしばでした。

その一つに、人間のリズムは25時間というもの。
これによって、夜型へと生活傾向がずれてしまいがちなところがあると。
また、胎児が体内で成長する過程は、まるで生物の4億年の進化の歴史を
たどるようなものというのがありました。

僕個人の傾向にからんで、アタマに残ったところは、
人間の思考は、象徴思考と概念思考である、というところでした。
概念思考というのは、死という概念とか波という概念とか、
それぞれ別々のものがありながらも、共通認識できるもののことをいいます。
そして、象徴思考というものは、何か考えている時以外の思考全般のことをいうようです。
僕はその象徴思考というものが、けっこう大事だなと考えるタイプで、
言葉にならない、もやもやっとした思考が頭にあって、
それに言葉を当てはめてすっきりすることがありますが、
そういった象徴思考が豊かであり、それに忠実に言葉を当てはめることができたら、
それは実感のこもった言葉になるでしょうし、
なによりも、手あかにまみれたありふれた言葉だとしても、
妙に質感のある心からの言葉になると思いますし、
語彙の豊富な人で、言葉の創造力がある人であれば、
バラエティに富んだ言葉で思考伝達ができると思うのです。

象徴思考について、どうも、どういうことを言っているのかわからない方も
いるかと思います。わかりやすい例でいえば、
若い子たちが特にいう、「超かわいい」などの、「超」を例にとってみれば
いいかもしれない。
「かわいい」じゃ表現しきれないもやもやを解消するために「超」をつける。
そのもやもやっとしたもの全体が象徴思考でしょうね。

とかって、間違っていたりして。
まぁ、象徴思考という言葉が間違っていたとしても、僕の言わんとしていることは
大体伝わると思います。

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「清川あさみ美女採集」

2013-04-24 15:59:56 | days
札幌エスタの清川あさみ美女採集展に行ってきました。
「長澤まさみ×パンダ」など、
美女たちを特定の動物や植物と融合させたイメージの作品がおもしろい。
その抽象化の仕方もそうだけれど、
美女とfeatureする生物の選び方にアーティストの鋭さを感じた。





これは何と融合させているでしょう?と友だちがクイズをだして、
僕が答えるという、お客さんがまばらな時間帯だからこそできた遊びをしてきた(ひんしゅくを買うかな)。
大体、7,8作品やって、大体当たりました。
抽象化がハンパない中で、かぎになる図なり模様なりあるんですよね。

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『野茂英雄』

2013-04-19 16:05:37 | 読書。
読書。
『野茂英雄』 ロバート・ホワイティング 松井みどり訳
を読んだ。

日本人メジャーリーガーのパイオニア、野茂英雄さんの現役時代の伝記、
そして、その他メジャーにわたった日本人選手の記述もある、
野茂さんを中心とした日本人メジャーリーガーの本です。

野茂さんがアメリカに渡ったのが95年で、僕は高校3年生でした。
友だち連中といろいろ話しをし、日本球界に反旗を翻したのは問題にしないとしても、
前シーズンの成績からいって、活躍できるのだろうかという心配をしていました。
それが、ふたを開けてみれば、僕がしていたような心配が恥ずかしさとともに
吹き飛んでしまうくらい、彼の活躍は見事でした。

彼がバッタバッタとメジャーリーガーを三振にとっていくことで、
日本人優勢論を展開するわけではありませんが、日本人のコンプレックスを払拭するのと、
アメリカから一方的につけられたレッテルをはがす役割をしてくれたように
思ったものです。

メジャー123勝。
ノーヒッター2回。
それもア・リーグとナ・リーグの両リーグで。

彼の後を追ってメジャーに行った優秀な日本人投手が多数いましたが、
この成績よりも上の結果を残した投手はいません。
これは、少し残念ではありますが。

野茂さんって、マウンドの土とか天然芝とか、歓声とか、
球場のすべてにフィットしてそのまま溶け込んでしまいながら個性を立たせる
素晴らしい雰囲気のある野球人だなぁという印象をもちます。
メジャーにいったからそうなった気がします。

無口、マスコミ嫌い。
それでも、彼のあきらめない姿勢、チャレンジ精神が、
彼の魅力としてそれらを凌駕いているように感じます。

イチローさんも松井秀喜さんもそうですが、
野茂英雄さんはやはり大スターです。

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『自我と無意識』

2013-04-14 08:31:36 | 読書。
読書。
『自我と無意識』 C.G.ユング 松代洋一/渡辺学 訳
を読んだ。

文化庁長官を務めた故・河合隼雄さんがユング派心理学の心理療法士でしたが、
そのユング派心理学の始祖であるユング自身が自らの考える心理というもの
を解説した、いわば入門書的な自著が本書にあたるようです。

はっきりいって難しいです。200pそこらですが、1/10も理解していないかもしれない。
ユング自身も、本書の最後に、すべてを理解してもらえれば嬉しいが、この議論の根底にある
経験というものがたいていの人には知られていないことなので、まぁ無理だろうと言っています。
しかし、こういう未知の世界、未経験の経験領域があることを知ってもらえたら嬉しいみたいな
ことを述べています。

それでは感想や考えたことを、読みながらはやばやとツイートしているので、
そのまとめを記載します。

___


無意識の意識化が進むことによって、
無意識による支配力が薄れて、意識、人格の拡張があるとユングはいいます。
ふつう、読書とか会話によって、共感したり再発見したりということがあります。
それって、無意識の意識化でもありますよね。
そうやって、より「自分をわかった視座をもつ人」になるんだと思う。

そういう意味で、本を読むことも人と接することも大事だなぁ思う次第。
内向的外向的どちらにも、この場合、救いの道はあるということですが、
内向的外向的の半々くらいがいいような気がする。
内向には内なるアニマ(アニムス)という無意識が人生を決めるのに関係し、
外向には他人との比較で関係する。

内向外向半々だと、きっとアニマ(アニムス)とぎくしゃくした時に傷つくのも半分で済むし、
他人とぎくしゃくした時にゆらぐのも半分で済む。
こういうのはありなのか知らないけれど、ようは、逃げ道じゃないのかなぁ。
内向的でダメになったら、「実は外向的でね」というモードに入る。逆もしかり。



空想というもの。空想すること、その内容に没頭して積極的に関与する、
そうすることで、その過程を自分のものとすることになるそうです、
ユング派心理学の始祖ユングによると。
そうやって、形作られていく、変容していくのがその人の人格だったりするみたい。

これはイメージトレーニングに繋がりますね。
イメージしたものに積極的に気持ちを関わらせていくことで、
ポジティブな空想というものに浸ることになる。
その結果、そこでの過程が自分のものとなり、あたかも現実の経験のように人格の形成・変容に影響する。

もっと言えば、ものすごくありえない空想に関与していくこと。
魔法使いの話でもSFの話でも、なんでもいいけれど、
それでもそこに積極的にのめりこんで空想することでその経験は自分のものとなるわけです。
それはすごく特別な、個人的な経験になるでしょう。独創性ってそういうとこから生まれるのかな。

つまりは、ぼーっと空想しちゃう事って悪くない、むしろ良いねっていう。
ユングはこうやって人格が変容して、ついには善も悪も融合するような人格になることを超越機能と呼んでいました。
そうなると、精神の病気もはねとばせる確率が高まるのかな。

なんか、独創性の正体見たりって感じだなぁ。
どれだけスペシャルな空想に浸って生きてきたかで
その人の思考システムがオリジナリティに富んだものになるかってことじゃないのかな。

空想がぼうっと湧きあがってくるところがポイントなんだよねぇ。
そこに無意識との関連があるから。無意識は奥が深いです。そして怖いものです。

個性を磨け、なんて無責任というか勝手というか、
そういう言い方をされた人が僕くらいの世代には多いかと思いますが、
たとえば個性なんてものは、その人がいればそれだけで個性十分なんですよね、
顔にしても身体にしても声にしてもなんにしても。

独創性を磨けっていうんならば、その方法は空想にあることが今日わかったけれど、
そのソースは1927年くらいのユングの本なんだから、
独創性を磨けとか指図するほうがちゃんと勉強してればその方法付きでつばを飛ばさずに指導できたわけです。

___

ええと、あくまで素人が素人なりに考えたことなので、確証があることではないです。
一応、論理上そうなるねということですが、その論理のこね方にも間違いがあるかもしれないし、
だいたいにおいて、難しい本なので誤読の可能性がけっこうあります。
でも、大きな意味においては、だいたいこうなるだろうみたいな確信ににた気持ちがあります。

そんなわけで、昨日誕生日をむかえ、新たな年齢で読み終えた最初の本になりました。
こういう難しい本から始まる一年っていうのも悪くないですね。




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