読書。
『マリアビートル』 伊坂幸太郎
を読んだ。
東北新幹線を舞台に繰り広げられる、
殺し屋たちの交錯。
悪業や裏稼業が、
新幹線という狭い空間に凝集されて起こるドラマとサスペンス、そしてアクション。
500ページを超える大作ながら、するすると読めてしまう一大エンタテイメントでした。
今作は『グラスホッパー』の続編的作品であり、
その前作と登場人物の重なりがあり、主人公が章ごとに交代することで、
それぞれのキャラクターの深みが増し、
つれて物語の深みも増していくスタイルを踏襲しています。
大ボスみたいな巨悪的キャラクターが数人いて、
とりわけ、中学生の「王子」という名前のキャラクターが、
憎たらしくてなおかつ油断ならない悪者なのです。
そういう強いキャラクターがぶれることなく動き、その個性を全うさせる書き方には、
著者の力を感じました。
序盤で、その「王子」の章ですが、
価値判断で人をコントロールしちゃう話は「わかるな」と思いました。
上に立つように「これはいい」「これはダメ」といちいち言う事で、
周囲で忖度のようなものが生まれ、言った者勝ちの価値基準が、
そのグループ内に生まれてしまう、というくだり。
こういう呪縛を受けないためには、
多くの別々のあつまりに属することだ。
これはいい、これはダサい、の圧が強い人からは距離をおく。
そういう場合は、「勝手に言ってなさい」くらいでいいんですよねえ。
個人的には、
捨てようと腐心してきた力のひとつがこれだよなあとも思いました。
いかに他人をコントロールしないか。
謝罪の言葉ひとつで上下関係の方向付けがすすんでしまったりする、
世界の(人間の)構造自体をバカにできる世界にできないか。
……まあほぼ無理だと思うから、「できるだけそうしたい」という態ではいたいです。
伊坂幸太郎という作家は、
読者に「知的な義憤」のような充足感を与えるエンタメ作家だと思います。
また、思索へのいざないまでもちゃんと作品に含まれている。
僕が読んできた作品はすべて「力作」という言葉がぴったりくるものでした。
戦って生みだしているなあという感じもします。
そしておもしろい。
病みつきになりそうに読めてしまう怖さがあるので、
またいくらか時間を空けて、
違う伊坂作品を楽しみたいです。
『マリアビートル』 伊坂幸太郎
を読んだ。
東北新幹線を舞台に繰り広げられる、
殺し屋たちの交錯。
悪業や裏稼業が、
新幹線という狭い空間に凝集されて起こるドラマとサスペンス、そしてアクション。
500ページを超える大作ながら、するすると読めてしまう一大エンタテイメントでした。
今作は『グラスホッパー』の続編的作品であり、
その前作と登場人物の重なりがあり、主人公が章ごとに交代することで、
それぞれのキャラクターの深みが増し、
つれて物語の深みも増していくスタイルを踏襲しています。
大ボスみたいな巨悪的キャラクターが数人いて、
とりわけ、中学生の「王子」という名前のキャラクターが、
憎たらしくてなおかつ油断ならない悪者なのです。
そういう強いキャラクターがぶれることなく動き、その個性を全うさせる書き方には、
著者の力を感じました。
序盤で、その「王子」の章ですが、
価値判断で人をコントロールしちゃう話は「わかるな」と思いました。
上に立つように「これはいい」「これはダメ」といちいち言う事で、
周囲で忖度のようなものが生まれ、言った者勝ちの価値基準が、
そのグループ内に生まれてしまう、というくだり。
こういう呪縛を受けないためには、
多くの別々のあつまりに属することだ。
これはいい、これはダサい、の圧が強い人からは距離をおく。
そういう場合は、「勝手に言ってなさい」くらいでいいんですよねえ。
個人的には、
捨てようと腐心してきた力のひとつがこれだよなあとも思いました。
いかに他人をコントロールしないか。
謝罪の言葉ひとつで上下関係の方向付けがすすんでしまったりする、
世界の(人間の)構造自体をバカにできる世界にできないか。
……まあほぼ無理だと思うから、「できるだけそうしたい」という態ではいたいです。
伊坂幸太郎という作家は、
読者に「知的な義憤」のような充足感を与えるエンタメ作家だと思います。
また、思索へのいざないまでもちゃんと作品に含まれている。
僕が読んできた作品はすべて「力作」という言葉がぴったりくるものでした。
戦って生みだしているなあという感じもします。
そしておもしろい。
病みつきになりそうに読めてしまう怖さがあるので、
またいくらか時間を空けて、
違う伊坂作品を楽しみたいです。