Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

悪い噂を流したヤツラ。

2019-04-09 14:14:59 | days
先日、僕の街の鉄道が廃線になりました。
我が街を走る鉄道支線の終着駅では廃線を名残惜しんで、
鉄道ファンのみならず、
市民の方々もかけつけて手を振ったりしたそうです。

それで、そこにたたずむ駅舎なのですが、
ぼくの親父が設計したものなのでした。
親父は役所の建築科に長くいた人で、
市内のいろいろな建物を設計しているらしい。
それで、こんな話を思い出しました。

僕が小学校の低学年か中学年かくらいのときに、
うちの近所の空き地に家を建てることが決まった親父の職場の人がいた。
それで、親父に家の設計をやってくれと言ってきたそうだ。
余談ですが、親父は我が家の設計もしたひとなのだけれど、
我が家は平屋の小さな家だったりします。
それで、親父はあとで出来あがった家に住んでから、
いろいろ文句を言われることもあると考えたのだったか、
その要望を断った。
たぶん、先方は、これだけお金出すよ、とか言ってきたのだと思う。
それでも、お断りします、と断った。

すると、先方はよほどそれがおもしろくなかったのか、
うちの親父が建設会社から賄賂をもらっているなどと嘘ついて、
噂を広めたようなのだった。

僕もうっすら覚えていることがある。
家の前の公園で遊んでいると、見馴れない夫婦がやってきて、僕を呼ぶ。
そして、ニコニコしながらやさしい感じで、
「近頃、ごはんのおかずがよくなっただろう?」
などと聞いてくる。
僕はまだ幼い子供で、大人に人たちには愛想よく感じよくしないといけないと
教えられていたので、うーーーーん、と考えて、
「うん」と答えたと思う。
それを先方は言質ととり、噂を広めたのだと思う。
おぼろげながら、奥さんのほうはうしろめたそうに、
「やめたら」みたいなことを言っていたと思う。

僕の家では、なにかよからぬことが起きているといったふうな、
親父と母の会話を耳にし、僕にもなにかあったら言うんだぞ、
みたいに言ったと思う。
9時には布団に入らなければいけなかったけど、その後、
居間から親父と母が小さな声で話をしていた。

もともとその噂は虚偽のものだし、
親父は賄賂なんかもらってなどいないし、
上司もわかってくれていたようで、
気にするな、みたいな感じで、
親父と母は凛として生活していたと思う。
僕は僕で、よくわからなくはあったのだけれど、
よく遊んでいた1つ上とか2つ上とかの子どもに、
大丈夫か、みたいなことを言われたし、
僕や僕の家を信じるよ、と言ってくれたりした。
その当時、子どもながら、いや子どもだからなのか、
僕はかなり信頼と信用があったのです。

この悪い噂の話は何年か前に親父に聞いたので、
それまでずっと妙な記憶として頭の隅っこに打ち捨てられていました。
加害者である、悪い噂を広めた人たちは、
僕に覚えがないうちに引っ越していて、
問題の家には、違う人が住んでいる。

こういう、卑劣で残念で汚らわしい愚かな奴らっているんだよね。
これらの経験は、親父と母に、
いまでもなにがしかの負担をもたらしていると思う。
親父が酒をよく飲むのも、
母が病気になったのも、
たぶん、遠因としてこれらのことがあるのだ。
噂を広めた夫婦にとっては嬉しいことに違いないだろう、腹が立つけれど。

僕がこの街に帰ってきて入った会社の歓迎会で絡んできた人がいるんだけれど、
その人はどうやら親父と同期で、
たぶんこの件とかもあってのことだったかもしれない、と
いまになって思うのだった。
その人は今、議員やってます。

勝手な怨恨を抱いて、嘘を噂として広める人はいるし、
それを真に受けて態度を決める人もたくさんいる。
どちらも軽い気持ちなんだよね。
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