昨日は、雛祭り。
昨年の7月から我が家に居候をしている中学3年の娘のお友だちが、3月1日、都立高校の一般入試に合格した。
これで、晴れて4月から娘と同じ高校に通える。
めでたい!
ということで、雛祭りと娘たちの合格祝いを兼ねた晩メシを作ることにした。
スーパーなどでは、雛祭りと言えば「チラシ寿司」という風潮がある。
それは、チラシ寿司の華やかな彩から連想したものだろうと思われる。
しかし、我が家では雛祭りと言えば、伝統の「苦手鍋」。
ん? 苦手鍋? なんじゃ、そりゃ?
これは、おそらく世界中で「Mサンち」しかやっていない風習だろう。
だから、自慢できる。
出汁は、日高昆布と鰹節、煮干で作る。
1リットル分の出汁を作ったら、カセットコンロの上に、直径40センチの土鍋を乗せ、出汁を入れる。
そして、日本酒を300cc投入。
沸騰させる。
火を止めて少し冷ましたあとで、水を500cc追加。
火をつけて、短冊切りにした大根、人参を入れる。
他に椎茸、豆腐、白菜の硬い部分を入れて煮る。
10分程度煮込んだら、白菜の葉の部分を入れる。
次に、各自の嫌いな食材を入れていく。
だから、苦手鍋。
たとえば、息子は春菊が嫌いだから、春菊を入れる。
娘は、エノキ。
娘のお友だちは、マグロが嫌いだから、マグロを入れる。
ヨメは、里芋。
私は、コンニャク。
その後、中力粉で作った、手打ちの太っといウドンを投入。
最後に、濃口の醤油とみりん、おろし生姜、ニンニクのみじん切りで作ったタレを回しかけ、10分ほど煮込む。
あとは、安い豚のしゃぶしゃぶ肉5人前を皆で、シャブシャブする。
そして、締めは苦手の食い物を克服するという儀式。
ただ、苦手なものを食うだけでは、楽しみがない。
苦手を楽しく克服するために、ご褒美を用意するのである。
封筒が5つ。
表には数字が1から5まで書いてある。
中の4つには、千円札が1枚ずつ入っている。
残りの一つの封筒には、千円札6枚が入っている。
つまり、5人のうちの一人だけが「6千円長者」になれるのだ。
苦手を早く克服した順番に、数字の書かれた封筒をランダムに引いていく。
ただ、どの封筒に6千円が入っているかは、わからない。
千円札1枚の封筒にもダミーの紙が入っているから、手触りで判断できないようになっているのだ。
今回、真っ先に苦手を克服したのは、コンニャクを食うと失神する特技を持つ私だった。
のどに詰まりそうになって、失神しそうになった。
その次が息子。そして、ヨメ、娘、居候の順番。
居候は涙目になって、マグロを長い間、頬っぺたに含ませていたため、頬がハムスター状態になっていた。
20分近く、ハムスターだった。
皆が食い終わって、一斉に封筒を開ける。
6千円を手にするのは、誰か!?
・・・・・・・今回は、ヨメだった。
勝者は、ヨメ。
ヨメが、ガハハハハ、と笑った。
6枚の千円札を手にしたヨメは、誇らしげだ。
しかし、この「苦手鍋」は、ここで終わるわけではない。
勝者が勝ち誇った顔で立ち上がり、他の4人を呼び捨てにしながら、千円札を一枚ずつ分け与えるのである。
そのとき、勝者は、相手を呼び捨てにしながら、日ごろ言えないことを言う権利がある。
たとえば今回、勝者であるヨメは、私に向かってこう言った。
「サトルよ。もっと自分の体を労われ。休むことも仕事だと考えよ。この、愚か者が!」
ははー!(ひれ伏して、千円札をいただく)
勝者は、他の者にも有り難いお言葉を投げ与え、神のような慈悲を持って、千円札を分け与えた。
その結果、誰もが等しく2千円のご褒美を得て、みなの晴れやかな笑顔が座に満ちたところで、この「苦手鍋」の幕は閉じる。
めでたし、めでたし!
何と心温まる儀式であろうか。
だが、そんなめでたい空気が座に溢れていたとき、この儀式に始めて参加した居候が、娘に向かって言った。
「なあ、おまえんちって、毎年こんなことやってるのか! 誰だよ、こんなバカなこと考えたの」
その言葉を受けて、瞬速で、ヨメ、息子、娘の視線が、私に集中した。
・・・・・・・・・・(冷たい視線)。
やはり、俺は、バカだったのか・・・・・(泣)。
昨年の7月から我が家に居候をしている中学3年の娘のお友だちが、3月1日、都立高校の一般入試に合格した。
これで、晴れて4月から娘と同じ高校に通える。
めでたい!
ということで、雛祭りと娘たちの合格祝いを兼ねた晩メシを作ることにした。
スーパーなどでは、雛祭りと言えば「チラシ寿司」という風潮がある。
それは、チラシ寿司の華やかな彩から連想したものだろうと思われる。
しかし、我が家では雛祭りと言えば、伝統の「苦手鍋」。
ん? 苦手鍋? なんじゃ、そりゃ?
これは、おそらく世界中で「Mサンち」しかやっていない風習だろう。
だから、自慢できる。
出汁は、日高昆布と鰹節、煮干で作る。
1リットル分の出汁を作ったら、カセットコンロの上に、直径40センチの土鍋を乗せ、出汁を入れる。
そして、日本酒を300cc投入。
沸騰させる。
火を止めて少し冷ましたあとで、水を500cc追加。
火をつけて、短冊切りにした大根、人参を入れる。
他に椎茸、豆腐、白菜の硬い部分を入れて煮る。
10分程度煮込んだら、白菜の葉の部分を入れる。
次に、各自の嫌いな食材を入れていく。
だから、苦手鍋。
たとえば、息子は春菊が嫌いだから、春菊を入れる。
娘は、エノキ。
娘のお友だちは、マグロが嫌いだから、マグロを入れる。
ヨメは、里芋。
私は、コンニャク。
その後、中力粉で作った、手打ちの太っといウドンを投入。
最後に、濃口の醤油とみりん、おろし生姜、ニンニクのみじん切りで作ったタレを回しかけ、10分ほど煮込む。
あとは、安い豚のしゃぶしゃぶ肉5人前を皆で、シャブシャブする。
そして、締めは苦手の食い物を克服するという儀式。
ただ、苦手なものを食うだけでは、楽しみがない。
苦手を楽しく克服するために、ご褒美を用意するのである。
封筒が5つ。
表には数字が1から5まで書いてある。
中の4つには、千円札が1枚ずつ入っている。
残りの一つの封筒には、千円札6枚が入っている。
つまり、5人のうちの一人だけが「6千円長者」になれるのだ。
苦手を早く克服した順番に、数字の書かれた封筒をランダムに引いていく。
ただ、どの封筒に6千円が入っているかは、わからない。
千円札1枚の封筒にもダミーの紙が入っているから、手触りで判断できないようになっているのだ。
今回、真っ先に苦手を克服したのは、コンニャクを食うと失神する特技を持つ私だった。
のどに詰まりそうになって、失神しそうになった。
その次が息子。そして、ヨメ、娘、居候の順番。
居候は涙目になって、マグロを長い間、頬っぺたに含ませていたため、頬がハムスター状態になっていた。
20分近く、ハムスターだった。
皆が食い終わって、一斉に封筒を開ける。
6千円を手にするのは、誰か!?
・・・・・・・今回は、ヨメだった。
勝者は、ヨメ。
ヨメが、ガハハハハ、と笑った。
6枚の千円札を手にしたヨメは、誇らしげだ。
しかし、この「苦手鍋」は、ここで終わるわけではない。
勝者が勝ち誇った顔で立ち上がり、他の4人を呼び捨てにしながら、千円札を一枚ずつ分け与えるのである。
そのとき、勝者は、相手を呼び捨てにしながら、日ごろ言えないことを言う権利がある。
たとえば今回、勝者であるヨメは、私に向かってこう言った。
「サトルよ。もっと自分の体を労われ。休むことも仕事だと考えよ。この、愚か者が!」
ははー!(ひれ伏して、千円札をいただく)
勝者は、他の者にも有り難いお言葉を投げ与え、神のような慈悲を持って、千円札を分け与えた。
その結果、誰もが等しく2千円のご褒美を得て、みなの晴れやかな笑顔が座に満ちたところで、この「苦手鍋」の幕は閉じる。
めでたし、めでたし!
何と心温まる儀式であろうか。
だが、そんなめでたい空気が座に溢れていたとき、この儀式に始めて参加した居候が、娘に向かって言った。
「なあ、おまえんちって、毎年こんなことやってるのか! 誰だよ、こんなバカなこと考えたの」
その言葉を受けて、瞬速で、ヨメ、息子、娘の視線が、私に集中した。
・・・・・・・・・・(冷たい視線)。
やはり、俺は、バカだったのか・・・・・(泣)。