「16個あったけどいいの」という電話が、今日の朝早くかかってきた。
「水は、4本だったね」とも言われた。
そして、「電池は、24本もあった」。
懇意にさせていただいている中古OA販売会社の社長からの電話だ。
顔と体型が似ているので、私は彼のことを密かに「カバさん社長」と呼ばせていただいている。
埼玉に住んでいた昨年春まで、この会社の倉庫の一角を貸してもらい、そこを私は「隠れ家」と名づけていた。
広い倉庫の隅には、中古のOA機器が修理される順番を待っている。
そして、その一角には、間仕切りで事務所を設けてあった。
ただ、事務所は近所に移転してしまったので、その事務所は今まったく使われていない。
そこに目をつけた私は、カバさん社長の事務所のパソコンを無料でメンテナンスする代わりに、その事務所跡を自由に使わせてもらっているのである。
精密機器を保管する倉庫なので、空調は行き届いている。
事務所にも、小さなエアコンが付いている。
壁の隅には、汚いがソファも置かれている。
それなりに、快適な空間だ。
私は、一人になりたくなったとき、ここをいつも利用して、平穏な時間に浸り、心を再生していた。
ときに、10時間以上、一人でソファに座ったり、惰眠を貪ったりしていた。
そして、腹が減ると、安いときにドラッグストアやロジャースで買いだめしたカップラーメンを食った。
酒は、「いいちこ」だ。
なぜか、ゴミ捨て場で拾ったアコースティックギターも簡単な修理を施して、壁に立てかけてある。
毛布も一枚置いてある。
CDラジカセも置いてある。
CDラジカセは電池で稼働させるので、単1の電池を20本以上ストックしてある。
カップラーメンを食うとき、水が必要なので、2リットルのミネラルウォーターもストックしてある(倉庫の外に水道があるのだが、汲みに行くのが面倒くさい)。
そして、ギター以外のものを特大の段ボール箱に入れて、事務所跡の隅っこにいつも置いていたのである。
昨今の、醜いほどの買いだめ競争は、それなりに落ち着いてきたようだ。
米やパン、トイレットペーパーなどは、平常どおり店頭に並ぶようになった。
しかし、「カップラーメンは、お一人様1個でお願いします」「納豆パック、お一人様1個でお願いします」という笑える状況は、あまり変わっていない。
一昨日、カバさん社長に電話で埼玉の状況を聞いてみた。
埼玉も東京と変わらないと言う。
「ないって言われると、カップラーメン食いたくなるよね」
「水なんか普段飲まないのに、ペットボトルの水が飲みたくなるよね」
「単1の電池、何で品切れなのかね。うちの懐中電灯、単1じゃないと駄目なんだよね」
ああ、ありますよ、カップラーメン。
単1電池もタップリと。
それに、水もありますよ。
私がそう言うと、「なんでぇ!」とカバさん社長が、叫んだ。
私は、魔法の箱を持っているんです。
倉庫の隅のダンボールを空けてみてください。
その魔法の箱には、社長の夢が詰まっているはずです。
そこで、半信半疑ながら、カバさん社長は、昨日倉庫に行ってきたということだ。
そして、カップラーメン16個、ミネラルウォーター4本、電池24個を見つけて狂喜したという。
「本当に、これ、もらっちゃっていいの?」
いいですよ。
ただし、単1の乾電池は4本だけ残しておいていただけますか。
CDを聞くとき、必要なので。
「ああ、それはいいけど、ホン・・・・・・トに、いいの?」
ホン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
「Mさん? 長いよ!」
ンとに、いいんです!
「太っ腹だね、Mさん!」
180センチ55.5キロです。
腹は太っていません。
ウエスト67です。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ぎこちない沈黙が続いた。
「水は、4本だったね」とも言われた。
そして、「電池は、24本もあった」。
懇意にさせていただいている中古OA販売会社の社長からの電話だ。
顔と体型が似ているので、私は彼のことを密かに「カバさん社長」と呼ばせていただいている。
埼玉に住んでいた昨年春まで、この会社の倉庫の一角を貸してもらい、そこを私は「隠れ家」と名づけていた。
広い倉庫の隅には、中古のOA機器が修理される順番を待っている。
そして、その一角には、間仕切りで事務所を設けてあった。
ただ、事務所は近所に移転してしまったので、その事務所は今まったく使われていない。
そこに目をつけた私は、カバさん社長の事務所のパソコンを無料でメンテナンスする代わりに、その事務所跡を自由に使わせてもらっているのである。
精密機器を保管する倉庫なので、空調は行き届いている。
事務所にも、小さなエアコンが付いている。
壁の隅には、汚いがソファも置かれている。
それなりに、快適な空間だ。
私は、一人になりたくなったとき、ここをいつも利用して、平穏な時間に浸り、心を再生していた。
ときに、10時間以上、一人でソファに座ったり、惰眠を貪ったりしていた。
そして、腹が減ると、安いときにドラッグストアやロジャースで買いだめしたカップラーメンを食った。
酒は、「いいちこ」だ。
なぜか、ゴミ捨て場で拾ったアコースティックギターも簡単な修理を施して、壁に立てかけてある。
毛布も一枚置いてある。
CDラジカセも置いてある。
CDラジカセは電池で稼働させるので、単1の電池を20本以上ストックしてある。
カップラーメンを食うとき、水が必要なので、2リットルのミネラルウォーターもストックしてある(倉庫の外に水道があるのだが、汲みに行くのが面倒くさい)。
そして、ギター以外のものを特大の段ボール箱に入れて、事務所跡の隅っこにいつも置いていたのである。
昨今の、醜いほどの買いだめ競争は、それなりに落ち着いてきたようだ。
米やパン、トイレットペーパーなどは、平常どおり店頭に並ぶようになった。
しかし、「カップラーメンは、お一人様1個でお願いします」「納豆パック、お一人様1個でお願いします」という笑える状況は、あまり変わっていない。
一昨日、カバさん社長に電話で埼玉の状況を聞いてみた。
埼玉も東京と変わらないと言う。
「ないって言われると、カップラーメン食いたくなるよね」
「水なんか普段飲まないのに、ペットボトルの水が飲みたくなるよね」
「単1の電池、何で品切れなのかね。うちの懐中電灯、単1じゃないと駄目なんだよね」
ああ、ありますよ、カップラーメン。
単1電池もタップリと。
それに、水もありますよ。
私がそう言うと、「なんでぇ!」とカバさん社長が、叫んだ。
私は、魔法の箱を持っているんです。
倉庫の隅のダンボールを空けてみてください。
その魔法の箱には、社長の夢が詰まっているはずです。
そこで、半信半疑ながら、カバさん社長は、昨日倉庫に行ってきたということだ。
そして、カップラーメン16個、ミネラルウォーター4本、電池24個を見つけて狂喜したという。
「本当に、これ、もらっちゃっていいの?」
いいですよ。
ただし、単1の乾電池は4本だけ残しておいていただけますか。
CDを聞くとき、必要なので。
「ああ、それはいいけど、ホン・・・・・・トに、いいの?」
ホン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
「Mさん? 長いよ!」
ンとに、いいんです!
「太っ腹だね、Mさん!」
180センチ55.5キロです。
腹は太っていません。
ウエスト67です。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ぎこちない沈黙が続いた。