白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

明日の記憶ー荻原浩

2021年10月01日 | 読書

評価5

再読(初読2017年1月12日、前回2017年5月14日)。
若年性アルツハイマーに罹ったサラリーマン佐伯雅行(50歳)は自分自身の病の進行を克明に日記にしたため、記憶の消失を防ぐため大量のメモを持ち歩き、一人娘の結婚式までたどりつく。一人の男の治癒することがない病との闘いと夫婦の絆を描いた感動の山本周五郎賞受賞作品。

病の進行とともに日記に平仮名や誤字が多くなることがせつない。渋谷駅頭で得意先までの道順がわからなくなり路頭に迷い交差点で立往生しメモを拾いまくる姿が哀しい。でも、でも、主人公は病を受け止め、自分で介護施設を探すなど前向きに生きようとする。奥多摩の山から下って来たところで妻と再会する場面にまた涙してしまった。

老いは何人も避けられない、できれば誰にも迷惑をかけないように突然ポックリ逝きたいものである。