白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

終わらざる夏(下)ー浅田次郎

2021年10月27日 | 読書

評価3

再読(前回2018年2月2日)。
8月15日の玉音放送で「終戦」を知った占守島の精鋭日本軍は降伏の準備を始めるが、ソ連の不穏な動きを感じた大屋准尉は作業の中止を進言する。大屋の読みは当たった。8月18日ソ連軍が上陸を開始し終わらざる夏の激闘が始まる。片岡、富永の死がソ連将校の記録で語られることが悲しい。

片岡の息子の譲は信州の疎開先から無事東京に帰りつき、島の缶詰工場で働いていた女子挺身隊も脱出に成功、この辺は「やぁ~いがったぁ~」とホッとするものの、盛岡出身の二人の死にざまが惨たらしいし、生き残ってシベリア抑留の身となった菊池軍医の末路も切ない。ため息しか出ない・・・

ソ連将校の夢と疎開から逃亡した譲と静代の姿がシンクロする場面、ソ連将校の独白が語られる終盤が正直しっくり来ない。もう少し、盛岡出身の3人に絞り込んだ物語にして欲しかった。