8月2日 おはよう日本
がんになっても日常生活を少しでも過ごしやすくするために重要なのが
体の痛みや心の苦しみを和らげる緩和ケア。
本来はがんと診断された直後からケアを求められているが
なかなか徹底されていない現状がある。
森英次さん(46)はがんによる体の痛みを和らげるため
週に一度緩和ケアを受けている。
痛みの強さを伝え
鎮痛薬や医療用の麻薬の量や種類を調整してもらっている。
森さんは3年前 耳の下にがんが見つかり手術を受けた。
半年後 肺などに転移していることが判明。
針で刺されたような鋭い痛みが続いた。
痛みで歩くことも出来ず
生きがいの仕事もたびたび休まざるを得なくなった。
当時の主治医に相談したが痛いのは仕方が無いと言われ
緩和ケアを受けることが出来なかった。
抗がん剤治療のため今通っている病院を訪れ
治療と平行して初めて緩和ケアを受けることになった。
今では痛みはやわらぎ仕事に集中して取り組めるようになった。
森英次さん
「職場復帰するため痛さを減らすためにも緩和ケアが必要。
普通の社会人の生活が僕にも出来ればと。」
森さんが緩和ケアを受けている東京江東区がん研有明研病院。
治療に当たる医師とは別に
緩和ケアが専門の医師・薬剤師・臨床心理士など
さまざまな職種が加わった緩和ケア専従チームを
3年前に全国に先駆けてつくった。
医師や薬剤師は患者に合わせた薬を選んで痛みをやわらげる。
70代の男性患者は薬では痛みがとれなかったため
神経を麻痺させる治療を行なった。
精神的な苦しみや不安には臨床心理士や看護師が対応する。
違う職種の専門家がそれぞれの立場から意見を出し合い
患者ごとに適切なケアを選びだす。
しかし複数の職種が加わった専従チームのある病院は
全国にあまり無いのが実情である。
緩和ケアはがんと診断された直後から行うべきだという認識が
広がっていないことが理由のひとつだという。
がん研有明病院がん治療支援緩和ケアチーム 服部政治医師
「がん治療が終了したら緩和ケアというイメージを捨てないといけない。
症状をしっかりコントロールする緩和医療が
これから大事になってくる。
教育・治療科として組織だったシステムをつくる必要がある。」
厚生労働省は医師や薬剤師などによる専従チームを
来年度から
都道府県にひとつずつ設置して患者のケアにあたると共に
他の医師への研修を行なってレベルアップをはかることにしている。