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太陽光発電 “先進”ドイツで想定外の事態に

2012-08-17 12:57:43 | 報道/ニュース


  8月15日 おはよう日本


  各家庭に配られている電気使用量のお知らせに
  再エネ発電賦課金等という項目がある。
  先月から太陽光や風力などでつくられた電力の買い取りを電力会社に義務付ける
  再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が始まり
  その費用を私たち電気の利用者が負担することになった。
  上乗せ額は標準家庭で1か月あたり75円~111円になる。
  クリーンな自然エネルギーの普及を目指して始まった
  この制度のモデルとなったとされているのがドイツである。
  しかし今 ドイツでは当初は想定されていなかった事態が起きている。

  ベルリン郊外に住むバーデさんとウィルヘルムさんは年金で生活している。
  ドイツで再生可能エネルギーの電力を買い取る制度が始まった12年前
  電気料金に占める利用者の負担金の割合は1%以下だった。
  それが去年は約15%にまで増えた。
  バーデさんは電気料金に転嫁される負担金の割合が
  年々増えてきたことに不満を感じている。
  「電気は水と同じく生活になくてはならないもの。
   そこに重い負担をかけるのは間違っている。」

  脱原発に舵を切り再生可能エネルギーの普及に力を入れるドイツ。
  発電に占める再生可能エネルギーの割合は
  去年 約20%に上り
  原発の18%を初めて上回った。

  再生可能エネルギーの普及を促したのは
  固定価格買い取り制度だった。
  この制度は
  費用などは太陽光や風力といった
  再生可能エネルギーを使って発電した電力を
  電力会社に一定の価格で買い取ることを義務付けるものである。
  なかでも買い取り価格が高く設定された太陽光は
  急速に普及が進んだ。
  一方 電力会社が買い取った費用は
  負担金として利用者の電気料金に上乗せされる。
  電力会社が買い取る量が増えれば増えるほど
  利用者の負担も増えてしまうことになるのである。

  従業員140人の繊維加工会社を経営するドレクセルさんは
  太陽光を優遇する今の政策に疑問を投げかけている。
  「このモーターは古くなったので新しいものに買い替えたいが
   負担金の増加でそんな余裕はない。」
  電力を集中的に使うこの会社では
  10年前は日本円で年100万円程度だった負担金が
  今年は1,200万円余に増える見通しである。
  これは会社の年間の利益の3分の1に迫る金額である。
  「今ですらやっていくのが精いっぱいなのに
   これ以上負担金が値上がりすれば
   会社の存亡にかかわってくる。
   従業員の解雇も検討しなければならない。」

  こうした状況にドイツ政府は買い取り価格の大幅な引き下げに乗り出した。
  すると今度は発電することで利益を得てきた業者らが
  政府の方針に強く反発した。
  この春ベルリンで行われたデモには数千人が参加した。
  「何千もの人が仕事を失うだろう。
   ドイツのエネルギー改革もつまずくに違いない。」

  さらに買い取り制度の導入で
  恩恵を受けると見込まれていたドイツの太陽光パネルの企業も
  思わぬ苦境に立たされている。
  設置されているパネルはドイツではなく中国で作られたもの。
  中国製の太陽光パネルはドイツ製に比べて価格が安く
  ここ数年ドイツ市場で急速にシェアを伸ばしている。
  「最近は60%が中国製パネルを購入している。
   残り40%には韓国や台湾製などが含まれる。
   ドイツ製はそれ以下というのが現状。」
  制度の恩恵を受けているのは当初の狙いと異なり
  ドイツではなく中国のメーカーなのである。
  
  日本でもスタートした再生可能エネルギーの買い取り制度。
  専門家は
  日本もドイツと同じような状況に直面する可能性があると指摘している。

  みずほ情報総研 河本桂一シニアマネージャー
  「日本の関連産業をどれぐらい活性化するのかというところまで
   全体像をきちんと描くことができないと
   結果的に国民や事業者が『電気代は高い』と
   不平不満の塊だけになってしまう。
   ドイツでの不平不満を咀嚼しながら
   日本版の制度にしていく必要がある。」


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