8月17日 おはよう日本
財政再建を目指すギリシャにとって
観光業はGDPの約15%を占める国の基幹産業のひとつである。
ところが去年から今年にかけての国内の混乱で
海外からの観光客が減少している。
その影響で観光の拠点となるホテルの廃業も相次いでいる。
夏のバカンスシーズンを迎えたアテネでは
パルテノン神殿など主な観光スポットは例年どうり営業しているが
この夏ギリシャを訪れる観光客は減っている。
「もっと観光客いるのかなと思っていたが
静かな感じが印象的。
誰も歩いていない。」
その主な原因は政府の緊縮策に反対して行われた激しいデモである。
デモは今ではほとんどないが治安が悪化したイメージが残っている。
今年ギリシャを訪れる海外からの観光客は
約50万人減の見通しである。
日本からの観光客も減っている。
トラブルを嫌って日本国内でのツアーの募集が減ったため
アテネ市内の代理店では
団体客が去年に比べて8割以上減少した。
「お客様に危険なことがあってはいけないという不安感。
そのためにツアーをつくらない方が多いというのが
いちばん大きいと思う。」
土産を買いに来る人も財布のひもは固く
観光がもたらす収入も落ち込んでいる。
なかには店を閉める土産物店も出始めている。
「去年より客足が遠のき
売り上げは30~40%落ちている。
ほとんどの店が問題を抱えている。」
ギリシャ観光のハイライトであるエーゲ海の島めぐりにも影響が出ている。
政府の一連の緊縮策で燃料税が強化されたため
島に向かうフェリーの運賃も値上がりした。
アテネから人気の観光地レスポス島までの費用順の運賃は
去年より40%以上も値上がりして
日本円で6400円になった。
この時期一番の賑わいを見せるはずのレスポス島の浜辺も閑散としている。
客離れはホテルでも深刻である。
レスポス島でホテルを経営するアルバロプロスさんは
今年は思い切って宿泊料金を40%値下げしたが客足は戻らない。
この日も予約が入っているのは20ある部屋のうち6部屋だけ。
アルバロプロスさんは今年10月にホテルを閉めることを決めた。
「もう続けていくのは不可能だ。
つらいことだが6人の従業員を路頭に迷わせることになる。」
ギリシャ国内にあるホテルは約1万。
このうち去年から今年にかけて廃業したり売りに出されたホテルは
600を超えている。
このままでは宿泊客にも影響が出かねないと
業界の危機感は高まっている。
ギリシャホテル協会 ヨルギオス・チャキリス会長
「問題は国に対するイメージです。
政府がしっかり仕事をして
安定したイメージを打ち出せれば来年はよい方向に向かうでしょう。」
政府は観光業を支援しようと
この部門に限って税金を軽くするよう検討している。
しかしギリシャは
EUヨーロッパ連合などから支援を受けて財政を維持している。
緊縮策に逆行しかねない税金の軽減をギリシャが実現できるのか
見通しは立っていない。
主力産業への刺激策も思ったように進められないギリシャは
頼みの観光関連の収入が減少していては
財政再建もますます困難になるという懸念が広がっている。