6月27日 おはよう日本
世界経済を揺るがし続けているヨーロッパの信用不安。
そのなかでいま市場が最も厳しい目を向けているのがスペイン。
ユーロ圏第4位のスペインの財政が行き詰れば
EUヨーロッパ連合などで支えることができるのか
危ぶまれているからである。
スペインではこれまで
多額の不良債権を抱えた金融機関が問題視されてきたが
ここにきて地方自治体も財政難に陥り
政府に支援を要請しようとしている。
スペイン北東部のカタルーニャ州バルセロナ。
国内で最も経済力があるとされてきたこの州も厳しい財政難に陥っている。
景気の低迷を受けて税制が落ち込み
州の負債は総生産の22%にあたる約4兆5,000億円にのぼっている。
州政府は厳しい緊縮策を進めており
市民生活への影響が懸念されている。
「生活支援などこれまで受けてきたあらゆるサービスが削減されている。
いったいどこまで進むか不安だ。」
7月下旬 フランスとの国境に近い北部で大規模な山火事が発生した。
観光客2人が死亡、15人がけがをした。
当時の様子を撮影した住民は消防車の到着が遅れたと指摘している。
当時地元の消防車は他の山火事の現場に出動しており
代行の消防車が到着したのは50分後のことだった。
カタルーニャ州では
消防予算がこの2年間で20%以上も削減され
人手や機材が不足しているのではないかと懸念されている。
新たな消防士は採用されなくなり
老朽化がすすんだ消防車を買い替えることもできなくなった。
山の中腹にある山火事を監視する小屋は
いまは無人である。
州政府としては消防の他に
教育や医療など市民生活に密着した分野の予算を削減するのは難しく
もはや中央政府に支援を要請するしかないといわれている。
ただ全国に17ある州が次々に政府に支援を求めれば
国の財政が一層危機的な状況に陥るのは避けられない。
ナバラ大学 オルセン助教授
「カタルーニャ州の財政緊縮策はもう限界だ。
自治体が政府に支援を求めても
政府が金を確保するのは容易ではない。」
スペインの地方の危機はスペインの財政をさらに圧迫し
信用不安にあえぐヨーロッパ全体を揺るがしかねない危うさをはらんでいる。