1月10日 BIZプラス
約6,000万人の人口と豊富な資源が注目されて
“最後のフロンティア”とも呼ばれているミャンマーは
民主化で経済の改革・開放が急速に進む。
大きなビジネスチャンスと見られているのが
長く続いた軍事政権下で整備が遅れてきた都市のインフラ。
最大都市ヤンゴンでも24時間水道水の供給が受けられるのは限られた地域である。
ヤンゴンでは水道普及率は60%程度で
水道管の老朽化で半分近くの水が漏れてしまっている。
自衛策として住民はタンクなどに水をためて生活用水を確保している。
「夜しか水が来ない。
水をためるために毎日寝不足。」
日本は今 JICA国際協力機構が中心となり
ヤンゴン市の上下水道整備事業の獲得しようと
その全体計画である“マスタープラン”の策定を急いでいる。
マスタープランのもとに整備事業全体を獲得できれば
少なくとも1,000億円以上という巨額の受注が見込めるからである。
JICAから委託を受けたコンサルタント会社の担当者が
ヤンゴン市の浄水場を訪ねた。
稼働しているのは中国製の3台のポンプだが
たびたび故障で止まりそのたびに断水が発生している。
(浄水場の責任者)
「日本の優れた機械や技術を支援してほしい。」
(JICAの委託を受けたコンサルト会社 河村正士さん)
「たくさんのプロジェクトが必要になってくる。
日本企業が進出するチャンスはたくさんある。」
日本政府もミャンマーを積極的に支援していく方針である。
3日 麻生副総理兼財務大臣がミャンマーを訪れ
500億円規模の新たな円借款を近く再開する方針を伝えた。
しかし中国や韓国などのライバルもミャンマー側に食い込み
ヤンゴンでの日本の優位をくずそうとしている。
これに対し日本は上下水道だけでなく
都市計画や交通計画のマスタープランづくりで優位を保とうとしている。
(JICAミャンマー事務所 田中雅彦所長)
「大きな全体の設計図を描き
同時に技術 人材のトレーニングをやっていく。
総合システムとしての協力で提案していけば
日本はまだまだ優位な立場に立っていけるのではないか。」
1人あたりGDP (2011年IMF調べ)
ミャンマー 824ドル
ベトナム 1,374ドル
フィリピン 2,345ドル
タイ 5,395ドル
インドネシア 3,512ドル
経済成長見通し (2013年アジア開発銀行まとめ)
ミャンマー 6,5%
ベトナム 5,7%
フィリピン 5,0%
タイ 5,0%
インドネシア 6,6%
ミャンマーの急成長を見越して日本企業が続々と進出している。
主な進出企業
フォスター電機 第一交通産業 日立製作所 鴻池運輸
ロート製薬 エイチ・アイ・エス
対ミャンマー 国別直接投資(2011年度)(JWTRO調べ)
中国 43億4,570万ドル
イギリス 9,980万ドル
インド 7,300万ドル
韓国 2,560万ドル
日本 1,810万ドル
ミャンマー全体でみるとむしろ日本は大きく出遅れている。
ミャンマーへの制裁を大幅に緩和したアメリカ企業も投資に動くとみられ
最後のフロンティアをめぐる市場の争奪戦がこれから本格化する。