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時代の酒

2014-01-18 08:02:39 | 編集手帳
1月15日 編集手帳

鼻息の荒さでは出色の宣伝文句だろう。
〈醒さめよ人! 舶来盲信の時代は去れり…〉。
寿屋(現サントリー)が1929年(昭和4年)に発売した「サントリーウヰスキー白札」である.
〈酔はずや人 吾われに国産至高の美酒サントリーウヰスキーはあり!〉とつづく。
ほかに
〈断じて舶来を要せず〉という広告文もあった。
舶来の酒、
何するものぞ、
の対抗心を燃料に品質を磨き、
蒸留酒の国内トップメーカーに育ってきた歴史をもつ。

がっぷり四つに組む相手はもはや「舶来」にあらず、
「少子高齢化」だと言われて、
何年にもなる。

サントリーホールディングスが米国の蒸留酒最大手、
ビーム社を約1兆7000億円で買収するという。
〈酔はずや人〉と訴えようにも肝心な人の数が先細っていくのをにらみ、
海外市場に成長の道筋をつけていく。
勝負をかけた一手には違いない。

〈水で割るな薄めてはいかんウイスキーが時代の酒でありし日のこと〉(佐佐木幸綱)。
いま、
“時代の酒”は何かしらと考えても、
答えが浮かばない。
その酒がよく似合った、
人いきれにむせ返るような過ぎし昔が懐かしくもある。
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