日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

モンゴル 新たな国際戦略①

2014-01-19 08:00:00 | 海外ネットワーク
1月12日 NHK海外ネットワーク


モンゴルは石炭など豊かな資源を背景にここ数年10%以上の経済成長を続けている。
モンゴルは北はロシア 南は中国という大国に挟まれていて両国の影響を強く受けてきた。
1911年に中国の支配を脱し自治政府を樹立するが
1919年ふたたび中国の軍閥の支配下になった。
その後ソビエトの指導のもとに社会主義国となった時期もあったが
20年余前に社会主義を放棄して今に至っている。
モンゴルはいま日本を中国、ロシアに次ぐ“第3の隣国”と位置付けて関係を強化している。

モンゴル南部にあるタバン・トルゴイ炭鉱。
石炭埋蔵量は60億トン余で日本の年間輸入量の30年分に相当すると言われている。
海に面していない内陸国のモンゴルは採掘した石炭のほとんどを隣の中国に輸出する。
中国の経済発展に伴って石炭の輸出量も大幅に増加。
中国との国境に向かってトラックの列が延々と続く。
しかし石炭の価格は一手に輸入している中国側の立場が強いため国際価格の4割前後と極端に安くなっている。
モンゴルの炭鉱会社は中国の動向に左右されやすい現状に危機感を募らせている。
(炭鉱会社社長)
「中国経済が失速すると石炭の輸出量も減る。
 中国だけに頼って輸出するのはリスクが高すぎる。」
モンゴル政府は現状を打破するため中国以外にも石炭を輸出する巨大プロジェクトを策定した。
トラックに代わり列車で石炭を大量かつ迅速に輸送する。
国内の炭鉱と周辺国の港を鉄道でむすぶ。
プロジェクトではタバン・トルゴイ炭鉱通る総延長5,600kmものの新たな鉄道を建設する。
中国を通る南のルートとロシアを通る北のルート。
輸送ルートを2つ持つことで中国に依存する状態からの脱却を目指す。
中国とロシアの鉄道に連結し両国の港から日本や韓国へ輸出しようというのである。
建設資金はモンゴルの国鉄が自ら調達する。
そのためにPR映像も作って投資を呼びかけている。
きょうのためではなく未来のために作るべきだ
石炭の大きな買い手は日本だ

日本をターゲットにしたモンゴルの国鉄がプロジェクトの責任者に選んだのはゾリグ・アリマ―さん。
一昨年まで15年間日本で暮らし外資系の金融機関に勤めていた。
日本語も英語も堪能な語学力をかわれ抜擢されたのである。
(プロジェクトの責任者 ゾリグ・アリマ―さん)
「責任ある立場で携わっていることが一番の意気込みになっている。
 ぜひ成功させたい。」
ゾリグさんは自ら橋渡し役となって日本のコンサルティング会社と連日 技術的な課題や問題の解決にあたっている。
(日本のコンサルティング会社 現地担当者)
「完成に向け最終の微調整をやっていて入札図書の作成の手前までいっている。」
一度の輸送に200両の車両を連結させる新鉄道計画。
この日はルート上にどのような駅を設計するか話し合った。
(日本のコンサルティング会社 現地担当者)
「列車は非常に長くなる。
 駅ごとに施設をどう整備するか一番良い方法を考え出す必要がある。」
(ゾリグ・アリマーさん)
「きょう指摘していただいた点を検討して答える。」
夏は50度 冬は氷点下40度にまでなるモンゴル。
モンゴル国鉄は厳しい気候の中でも安全に運行できる鉄道の建設を期待している。
(コンサルティング会社 日本工営 仲野哲人さん)
「日本のエンジニアへの期待が非常に大きいのを実感しているしその期待に応えたい。」
ゾリグさんはモンゴルと日本との間で新たな協力関係が築けていると手ごたえを感じている。
(ゾリグ・アリマーさん)
「他の国の企業と比べ時間通りに質の高い仕事を私たちの意見を尊重しながらやってくれる。
 お互いを補いながら良い仕事が出来ている。」

中国のおかげで経済成長を遂げたとはいえモンゴルの国民の間には
貴重な天然資源を不当に安く中国に持っていかれているのではないかという批判的な見方が出ている。
モンゴルの輸出額全体に占める中国の割合は2002年には全体の4割だったが
年々増え続け2012年には中国1国で9割を占めるまでになった。
モンゴルは輸入も中国に依存しており食料、電化製品や日用品の大半は中国製である。
このままでは経済的にも人口でもはるかに規模の大きい中国に飲み込まれてしまうのではないか
中国のいわば属国になってしまうのではないかという危機感を強めている。


コメント