11月23日 BIZ+SUNDAY
エシカル(ethical)道義的、倫理的
この言葉をキーワードとしたビジネスが広がりを見せている。
11月 東京表参道にオープンした店が若い人の人気を集めている。
ネックレス(26,800円)は廃棄されるはずだった金属をリサイクルして作り環境保護をアピールした。
Tシャツ(4,200円)を作ったのはネパールの貧困層の女性たち。
搾取されることなく適正な賃金が支払われている。
こうした社会貢献につながる商品をエシカルな商品という。
値段は少し高めだが消費者の心をつかみ売り上げが伸びている。
「地球の環境や作り手側の意思が伝わるようなものがいい。」
「エシカルという言葉がついていると買ってみようかなという気持ちになる。」
エシカルファッション
エシカルジュエリー
物が売れない時代エシカルビジネスは消費の起爆剤となるのか。
これまでは
エコ
リサイクル
フェアトレード
オーガニック
など企業にとって慈善事業的な意味合いが強いものだった。
エシカルはこれらの言葉の意味をすべて含んでいるうえにビジネスとして成立させると言う意味がある。
途上国の生産者が環境に配慮し製品を作る。
企業は生産者を搾取せず適正な価格で商品を買い取り消費者に売る。
消費者は割高だが社会貢献に満足を得る。
全国にセレクトショップを展開するユナイテッドアローズ。
この春エシカル専門のブランドを立ち上げた。
扱うのはアフリカの貧困層の女性たちが作った商品である。
ケニアの女性が手作りしたビーズのバッグ(12,000円)。
ブルキナファソの手織りの生地のジャケット(66,000円)。
価格は割高だが売れ行きは上々である。
(ユナイテッドアローズ 丸の内店 明石達司セールスマスター)
「非常に細かな手仕事で商品を1点1点大事に作っていることを説明すると
賛同してお求めいただける。」
素材や伝統技術を生かして開発した商品は10種類以上。
アフリカで新たな雇用を生み出すことにつながっている。
(ユナイテッドアローズ 栗野宏文上級顧問)
「共感してい売れる方が1人でも2人でも増えたらブランドへの投資効果。
エシカルは徐々にひとつのムーブメントになるんじゃないか。」
欧米ではすでにエシカルビジネスが定着している。
パリやミラノで開かれているエシカルファッションショー。
高級ブランドのヴィヴィアン・ウエストウッド、ステラ・マッカートニーなども次々と売り出している。
いま多くのファッションブランドの生産地となっているのがケニアの首都ナイロビ。
年に5%の経済成長を続ける一方で数十万人がスラムで暮している。
ユナイテッドアローズをはじめ大手ブランドが注目しているのがマサイ族の伝統を受け継ぐビーズ細工。
細やかな手仕事の美しさが魅力である。
スラムに住む貧困層の女性たちにビーズ細工を取り入れた商品作りを依頼している。
これまで起業から搾取され安い賃金しかもらえなかった女性たち。
トートバッグを一つ作ると900ケニアシリング(1000円)もらえるようになった。
以前は食品工場で働いていた女性は賃金が2倍に増えた。
「絵イカルファッションの生産は働くほど収入を得られる。
私はこの仕事が好きです。」
品質管理は国連機械の立会いのもと徹底して行われる。
慣れない職人が多いため商品の出来上がりにバラつきがあるからである。
ビーズの数や並び方が揃っているのか細かくチェック。
線がゆがんでいるものはやり直してもらう。
「品質が基準に達していないのでこれは返品します。」
いまナイロビの向上には各国からバイヤーやデザイナーが頻繁に商談に訪れている。
途上国の人たちにも先進国の企業にも利益をもたらすエシカルビジネスに期待が高まっている。
(イタリア人デザイナー)
「アフリカから適正な価格で高品質なものを取引できるのはおしゃれでかっこいいことだわ。」
(カナダ人バイヤー)
「これからのファッション界に変革をもたらす製品だと思う。」