12月4日 キャッチ!
バイオハッキング。
ハッキングには“高い技術力を駆使してシステムを操る”という意味もあって
遺伝子やDNAの君佳枝技術などを使って新しい働きや個体を作ることをアメリカで“バイオハッキング”と呼んでいる。
日本では合成生物学の分野でこの研究が行われている。
いまアメリカではこのバイオハッキングに科学者だけでなく多くの一般市民が取り組んでいる。
バークレイ・バイオ研究所ではバイオハッカーたちが生物の構造を詳しく調べ
植物のDMAを詳しく解明したり
リサーチに使う安価な機器を作ったり
バッテリーを作るために海藻を使う方法を探っている。
(研究者)
「電気を作っているのではなくためているんです。」
バイオハッキングの研究室は増えているが学校での研究とは限らない。
そこでは生物学を専門的に学んだ人もそうでない人も世界を変えるかもしれない研究に取り組んでいる。
新しい研究が大学や民間施設に比べ気軽に行われている。
私たちは市民科学者です。
あるグループは遺伝子組み換え酵母を開発する費用を集めるためにネット上にビデオ映像を投稿した。
この酵母は成長することでチーズのたんぱく質を作り出します。
異端とされていた科学がいまや正統な科学となっている。
スタンフォード大学ではバイオハッキングを正式に合成生物学とする新しい研究室を作った。
研究を行うのは博士号取得者と学部生の有志。
この分野の先駆者であるエンディ教授が責任者である。
(スタンフォード大学 ドリュー・エンディ教授)
「持続的な形でモノを作るためには実生活と協調する方法が必要です。」
エンディ教授は
生物学を活用し芸術作品や地球にやさしい建築資材を作る元シェフの芸術家ロスさんに注目している。
ロスさんはキノコにおがくずやピーナッツの殻などのセルロース廃棄物を与えて再生可能な資材を作り出し
椅子やレンガを作っている。
(芸術家 フィリップ・ロスさん)
「キノコを全く違うものに変えることが出来るのです。」
“森や海、砂漠などの自然は私たちの手本となる。
巨大なパワーを生み出す生態系
そしてそのしくみは私たちがもっと創造的になれることを教えている”
とエンディ教授は言う。
(スタンフォード大学 ドリュー・エンディ教授)
「キノコを使って携帯電話や電子製品を作れたらどうでしょう?
もちろん最初は部品
でもあとは未知数です。」
サンフランシスコのバイオハッカーはより現実的な目標を目指している。
ビデオで研究資金の約50万ドルを集めた。
イカのDNAで植物を暗闇で光らせる研究のためである。
道を照らすのに樹木が使えたらどうですか?
共同設立者のエバンズさんは生物学者ではなくマーケティングが専門である。
(グローイングプラント アントニー・エバンズさん)
「DNAの指令によって発光する有機体を使い生物を光らせることが出来ます。
ネット掲載の微生物を光らせる遺伝子情報からDNA配列データを入手。
それをアプリを使ってDNAを複製するごく単純なことです。」
植物はまだかすかにしか輝かないが
エバンズさんによると
2年後にはその明るさは数万倍になるそうである。
すでに多くの人がこの技術に投資し植物を購入している。
しかし無秩序なバイオハッキングは環境や人間に危険をもたらすとして反対する人もたくさんいる。
その1人が環境保護団体のメンバーのパールズさんである。
彼女は
バイオハッキングの分野は未成熟で自由にさせてはおけないと言う。
(環境保護団体 ダナ・パールズさん)
「実験で扱っている細胞が流出したらどう処理していいかわかりません。
新しい分野でわずかな知識しかなく規制も安全評価もされていません。」
しかしエンディ教授は
現時点で明確な規制がなくともバイオハッカーは安全に配慮し
司法当局も安全な実験のために協力していると言う。
(スタンフォード大学 ドリュー・エンディ教授)
「管轄する組織がないから規制がないわけではありません。
サンフランシスコのFBI事務所は安全に配慮して実験を行っているが
チェックする捜査員を配備しています。」
倫理や合法性をめぐる議論はまだ始まったばかりである。
その道筋はバイオハッカーたちの自然システムを探る研究のなかで見えてくる。