11月25日 キャッチ!
もと肉料理が好まれるオーストリアだが
近年は健康志向などから肉を一切食べない人が人口の1割にのぼっていると言われている。
肉の代わりとして大豆への関心が高まっている。
ウィーン近郊のレストラン。
テーブルには伝統的な料理が並ぶ。
オーストリアの代表的な肉料理シュニッツェル。
いわゆるカツレツ。
しかしこの店では通常使われる仔牛や豚の肉を一切使っていない。
代わりに使われているのが大豆。
店では大豆の粉をしっかりと固めることで肉のような触感を再現した。
(来店客)
「味は普段食べる肉とほとんど変わらずおいしかったです。」
一方 今年6月にウィーン市内にオープンしたスーパー。
客層を主にベジタリアンなどに絞った専門店である。
健康志向の高まりや動物愛護の観点からオーストリアでは約10人に1人が肉を食べないと言われている。
そうしたなかで肉の代わりに重宝され始めているのがタンパク質が豊富なうえに低カロリーな大豆。
店には500種類以上の大豆に関連する商品が並んでいる。
(買い物客)
「さまざまな食べ物があるのに動物を殺す必要はないと思います。」
(スーパー店長)
「大豆製品はいろいろあり特にヨーグルトが人気です。
大豆の需要は増えていきますから市場も大きくなると思います。」
ウィーンでは肉や魚を一切食べない人たちの見本市が初めて開かれ約100ものブースが設けられた。
こうした市場は拡大を続けていて業界関係者によると
その市場は日本円にして90億円にも上ると推定されている。
見本市で料理を披露する料理研究家のエリザベート・フィッシャーさん。
この日は実際に豆腐を作って見せた。
ベジタリアンのための料理本など40冊以上の本を執筆してきたフィッシャーさん。
今から30年余前 近所のベジタリアンレストランで豆腐料理を初めて食べ
その味に驚かされたと言う。
(料理研究家 フィッシャーさん)
「豆腐に感動し食べたレストランで働くことにしました。
豆腐は私のキャリアに影響を及ぼしました。」
実はオーストリアは大豆を通して日本と深い関係があることで知られている。
さかのぼること今からおよそ140年前のウィーン万国博覧会(1873年)。
日本が農産物の一つとして大豆を紹介したことがヨーロッパに大豆が渡るきっかけになったと言われている。
その後国内で生産されるようになった大豆は近年の関心の高まりに伴って
現在は年間10万トン余が生産されている。
これは10年前の2倍以上にあたり
オーストリアはいまヨーロッパで大豆の生産が盛んな国のひとつになっている。
フィッシャーさんは生産農家や加工業者で作るオーストリアの大豆協会の副会長を務めている。
“畑の肉”と呼ばれる大豆の様々な可能性を学ぼうと
10月には協会のメンバーらと日本を訪問。
1週間余にわたって生産や加工の現場まで視察した。
「日本に行って私たちはまだまだこれからだと感じました。
大豆や豆腐の使い方
料理について本当に勉強になりました。」
フィッシャーさんは定期的に自宅で料理教室を開き大豆を使ったオリジナルの料理を教えている。
「オーストリアの伝統料理ではハムなどを燻製にします。
今回は豆腐の燻製です。」
この日の料理は豆腐のマリネ。
燻製にした黒い豆腐にしょうゆを加えオリーブオイルや赤ワイン
さらにスパイスを足して豆腐に味をつける。
味付けした豆腐を鉄板で軽く焼き黒パンの上に。
野菜を乗せてオーストリアの人たちにも親しみやすい味に仕上げた。
(参加者)
「健康的な生活には豆腐が最適と聞き
どう料理するのか見たくて参加しました。」
「大豆はいろいろな料理方法があり様々な味付けができるのが魅力的です。」
大豆から受けられる恩恵を多くの人に知ってもらいたい。
フィッシャーさんは食材としての大豆の魅力をさらに広めようと意気込んでいる。
(料理研究家 フィッシャーさん)
「いろいろなところで多くの人に大豆を食べてもらいたいです。
実食で大豆の魅力を知ってもらうのが一番だと思います。」