12月7日 BIZ+SUNDAY
アジアに進出した企業はこれまで主に日本人の社員をサポートする通訳として留学生を採用し活用してきた。
しかし最近では留学生を“アジアンエリート”と位置付け
幹部候補として採用する企業が増えている。
現地で事業を拡大していくためにはその国の商習慣を詳しく知る留学生の方がビジネスを優位に展開できると考えている。
東南アジアの有望市場ベトナム。
20年前に進出した三谷産業。
空調設備や化学製品の製造・販売。
年商は700億円にのぼる。
ベトナムでの売り上げは年々増え続けている。
現在 現地の子会社の社長は日本人だがベトナム社会にさらに食い込み業績を伸ばすため
将来ベトナム人を社長に起用したいと考えている。
(三谷産業 ベトナム法人 三浦秀平社長)
「ベトナム人による会社経営・管理というものを目指して今から準備していかないと
我々がいくら現地化・事業拡大したいと言ってもおそらく数年でしりすぼみになってしまう。」
社長候補の一人として3年前採用されたグェン・フォン・マイさん(32)。
マイさんは入社する前九州の大学に留学。
企業のビジネス戦略や人事管理を学んできた。
その経験を日本の企業で生かしたいと入社した。
(グェン・フォン・マイさん)
「長く勤めれば成長できる。
出世できる。」
アジアンエリートのマイさんはいまビジネスの最前線に立っている。
ベトナムでのビジネスの成功のカギは政府との交渉にあるがこれまでに日本人駐在員は苦戦してきた。
そこで会社はベトナム人のマイさんを抜擢。
マイさんが担当するようになってからなかなか会えなかった政府の役人にも会えるようになった。
(グェン・フォン・マイさん ハノイ市計画投資局で)
「ベトナムに進出して20年の記念パーティを開催します。
ベトナム市場の最新情報をぜひ話していただけないでしょうか。
重鎮の方に参加してほしいのです。」
(グェン・フォン・マイさん)
「最初に
“仲良くやっていきましょう”
というところからスタートしないと物事がうまく進んでいかない。
役所の人とうまくコミュニケーションをとれるようになったら頼みごとがあっても積極的にお願いできる。」
(三谷産業 ベトナム法人 三浦秀平社長)
「彼女は今回通訳ではない。
我々と一緒に会社を組織を作っていく。
そういう目的で彼女を採用している。」
将来マイさんを社長にしたいと考える会社はベトナム人従業員のマネジメントも任せている。
マイさんは従業員の働き方を抜本的に見直したいと提案した。
(グェン・フォン・マイさん)
「就業規則というものが無いので
そういうものいらないですかね。
こういうことは守ってくださいとか。」
会社では日本の大学でビジネスの起訴を学びベトナムの商習慣に詳しいマイさんにさらなる活躍を期待をしている。
(本社の人事担当)
「作ったらいいんじゃないの。
マイさんなら作れるよ。」
(グェン・フォン・マイさん)
「日本の制度でも現地の制度でも
従業員が幸せにならないと会社に長い間勤めてくれない。
雇用者からも被雇用者からも納得できる制度が出来たらいいと思う。」
(三谷産業 ベトナム法人 三浦秀平社長)
「日本側が何を言いたいか
何をしたいか
自分自身が理解して咀嚼して伝えていく。
そういうことでのブリッジ役。
そういう意味でも彼女には期待している。」