日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

最先端のIT技術でナイジェリア市場開拓

2014-12-24 08:00:00 | 報道/ニュース

12月10日 キャッチ!


最後の巨大市場と呼ばれるアフリカ。
とりわけナイジェリアは豊富なエネルギー資源を背景に安定した経済成長を続けていて投資先として外国企業の注目を集めている。
中でも中国の進出は目覚ましくナイジェリアに在留する中国人の数は5万人以上。
15年前に比べて10倍を超える勢いで増加している。
これに対してナイジェリアに在留する日本人の数は現在150人余。
出遅れている感は否めない。
こうしたなか持ち前の高い技術力と巧みなビジネス戦略でナイジェリアの市場開拓を進める日本企業が現れている。

アフリカ最大の人口1億7千万人を有するナイジェリア。
最大都市ラゴスで11月に行われた企業の国際見本市。
ヨーロッパやアジアなど世界各国から900社以上が参加。
アフリカ一のスケールとなった。
各国企業が売り込みに力を入れる理由はナイジェリアの高い成長率。
数年 年7%前後の経済成長を続け
去年のGDP国内総生産は南アフリカを抜いてアフリカ最大の経済規模となった。
今回の見本市で存在感を示しているのが日本のパビリオン。
過去最多の32の企業が出展している。
日本企業がターゲットにしているのが購買力のある中間層。
経済成長に伴って増え続け国民の3割を超え
自動車や食品などのメーカーが熱い視線をおくっている。
(日本貿易振興機構ジェトロ ラゴス事務所 佐藤丈二所長)
「この国を中長期的に見たときに
 地域最大でこれだけ伸び城があって競合が少ないというマーケットは少ない。
 日本企業も壁を乗り越えて行こうという機運になっている。」
見本市に合わせて開かれた日本企業向けのセミナー。
ここ数年ナイジェリアでは中国が鉄道など大型の建設事業
韓国はサムスン電子など大手メーカーを中心に現地生産・販売に力を入れるなど存在感を高めている。
単に製品を輸出して売るという日本の従来のビジネスモデルでは
先に進出している中国や韓国との競争には勝てないという意見が相次いだ。
(ジェトロ ラゴス事務所 佐藤丈二所長)
「家電メーカーが青空市場で戦わないといけないかというと必ずしもそうではない。」
(参加者)
「青空市場だけではやっていけない。
 安いだけでは売れていかないというのが印象的だった。」
そんななか日本企業が特に注目している分野はIT産業である。
近年サービス業や小売りと並びナイジェリアで成長著しく
若い世代の起業家も増えている。
このIT産業の特殊な分野にいち早くねらいを定めすでに進出している日本の大手メーカー NEC。
売り込みを進めているのは世界でも最先端の技術。
顔や指紋による生体認証である。
(来場者)
「奇跡のような技術だ。」
「この技術を空港に導入すれば治安は改善するだろう。」
NECは世界戦略の中でアフリカを重要地域と位置付け
一昨年ナイジェリアに事務所を設置した。
去年10月にナイジェリアに赴任し事業拡大を担ってきた吉藤寛樹さん。
自社の技術を活用すれば貧困に苦しむアフリカの人々の暮らしに役立つことが出来ると考えている。
ナイジェリアの1日あたり1ドル25セント未満で暮す貧困層は人口の6割にあたる1億人。
しかし日本のような戸籍制度がなく住民のデータを行政が管理できていないため
医療や教育などの公的サービスを的確に提供することが出来ない。
そんななかラゴス州の政府は吉藤さんの会社が開発した生体認証技術をナイジェリアで初めて採用。
去年10月から住民1人1人のデータベースを作り始めた。
登録所ではまず住所や名前のほか電話番号などを口頭で申請。
さらに「指紋」と「顔」をデータとして登録する。
住民にはその場で仮のIDカードが発行される。
(住民登録した市民)
「生まれて初めてのIDなのでうれしいです。」
「行政が住民データを入手することは我々の利益にもなります。」
登録されたデータはデータセンターで集約される。
これまでにラゴス州全体の約2,000万人のうちその1割にあたる約200万人のデータが登録された。
効果はすでに表れている。
ある人物は2回別の名前で登録していることが分かった。
これまで二重三重に登録して給付金などをだまし取るケースが相次いでいたが
この技術によってこうした不正を防ぐことが出来ると言う。
(ラゴス州 住民登録責任者)
「このシステムを使えば限られた予算を効率的に運用できます。
 登録をすすめ住民のニーズを正確に把握する必要があります。」
ビジネス拡大のため生体認証の技術を他の分野にも利用できないか 
吉藤さんはでトロの協力を得て政府関係者に聞き取り調査を行った。
国の北東部で活動を活発化させるイスラム過激派組織ボコハラムの脅威を抱えるナイジェリア。
生体認証の技術をセキュリティ対策に使えないかという意見が相次いだ。
(政府関係者)
「セキュリティのことを皆心配している。
 この技術を活用すれば犯罪を減らすことが出来るでしょう。」
システムの蓄積されたデータは空港の出入国管理や犯罪者の検索などにも技術的にも応用が可能で
吉藤さんも将来性に手ごたえを感じた。
(NEC 吉藤寛樹さん)
「生も反応を得ることは大変役に立つ。
 セキュリティに対する期待を政権にフィードバックして生かしたい。」
治安や伝染病など様々なリスクを抱えるアフリカへの企業進出。
それでも吉藤さんはナイジェリアでの実績を基に他のアフリカ諸国でもこの技術を広めたいと考えている。
(NEC 吉藤寛樹さん)
「他の国でも国民IDの計画がある。
 生体認証を通してアフリカの方々の生活改善に役立っていきたい。」
日本の技術力を生かした新たなビジネスモデルはアフリカの大地に根付くのか。
出遅れが指摘されてきた日本企業にとっては試金石となりそうである。




コメント