7月13日 キャッチ!
極東サハリン中央部のティモフスク地区。
広大な大地が広がり
地元の人たちが農業を営んでいる。
無料で提供された土地には
ジャガイモの芽がすでに育っている。
この土地で農業を始めた農家のアナトリー・グレベニュクさん。
新しい制度が始まるとの情報を聞きつけ
いち早く申し込んだ。
その結果
かつて国営農場の畑として使われていた1haの土地の提供を受け
ジャガイモなどの栽培を始めた。
(農家 アナトリー・グレベニュクさん)
「20年以上の休耕地なので育ちがいいです。」
グレベニュクさんが利用した法制度は
ロシア政府が5月に法律として成立させたもので
希望する国民に最大1haの土地を無償で提供。
5年間 農地などとして使用すれば正式に所有を認める。
開始から約1か月で2,000件余の申し込みが寄せられ
すでに約50人が国の審査をクリアし土地提供を受けた。
グレベニュクさんがもともと所有している土地は
新たに手に入れた土地から1キロほどの場所にある。
広さは100㎡
新たな土地の100分の1の広さしかない。
タマネギやニンジンなど8種類の作物を栽培してきたが
手狭なため生産量を限られてきた。
(農家 アナトリー・グレベニュクさん)
「狭いのでじゃがいもを植えることができません。」
グレベニュクさんは提供された土地で9月にもジャガイモの収穫を行う。
今年は6トンの生産を目標にしている。
この畑をさらに耕し生産を軌道に乗せることで
将来は息子に引き継ぎたいと考えている。
(農家 アナトリー・グレベニュクさん)
「農業を強化する素晴らしい制度です。
しっかり耕して収穫を増やしていきたい。」
このようにロシア政府が極東地域で土地を無所提供する背景には
ウクライナ情勢に関連して
欧米からの輸入制限による農産物の不足を補うために
国内の農業生産力を強化する狙いがある。
また人口問題への対応もある。
ソビエト時代 800万を超えていた極東の人口は
現在 約620万人にまで減少している。
このためロシア政府はこの地域を中心に
2025年までに総額17兆円余を投じ
インフラ整備を進めて地域の活性化を図っている。
こうしたなか注目したのが極東地域の広大な土地の利用である。
土地の提供が決まったサハリンのティモフスク地区では
過去20年間で人口が40%以上減少しているが
これまで有効な対策を打ち出せないでいた。
地元政府では新しい制度の導入によって
農業の生産強化だけでなく
豊かな自然を売りに観光ビジネスを手掛ける企業の進出も期待できるとしている。
(ティモフスク町長 アレクサンドル・チュプロフさん)
「新しい発想や考えを持た人たちにたくさん利用してほしいです。
この制度の運用が順調に進めば
雇用創出やインフラ整備が進むでしょう。」