7月21日 首都圏ニュース
“ラン活”=ランドセル活動。
ズラリと並ぶ車の先にはランドセル専門店。
東京足立区の店に全国各地から人が押し寄せている。
かつて年末年始がピークだったランドセル商戦。
今年は早くも最盛期を迎えている。
「ゆっくりしてたら
みんな買いだしていると聞き
焦って今日来ている。」
「一生に1回
こだわっている方がいい。」
お目当ては“工房系”と呼ばれる職人が手作りしたランドセル。
値段は5万円前後~8万円台。
紺や赤など
シンプルなデザインで丁寧な仕上がりが人気の秘密である。
ここ数年 急激に人気が高まっている工房系のランドセル。
この工房では50人の職人が120の工程をフル回転で行っている。
1日に作れるランドセルは100戸が限度である。
この手造りのランドセルを早く確保したい人たちが殺到。
7月中には完売する見通しである。
(中村鞄製作所 中村徳光専務)
「地方の人とか離島の人からもかなり注文が入る。
1日に多い時で2,000~3,000くらい注文が入っています。」
なぜここまで“ラン活”が広まっているのか。
専門家は
ランドセルをめぐる思い出を家族で共有したいという気持ちの表れだと
指摘する。
(船井総合研究所 上席コンサルタント 岩崎剛幸さん)
「ランドセルを買うだけの活動ではなく
行くまでの間
買った後も含めて“ラン活”。
思い出を消費しているという意味で
“思い出消費”の代表格がランドセルなのでは。」
息子に工房系のランドセルを購入した山内由華さん。
きっかけは入学前の夏に工房の様子を見学した“ラン活”だった。
職人の仕事を食い入るように見ていた息子を見て
「これなら6年間大切に使ってもらえるだろう」と思った。
(息子に“工房系”ランドセルを購入 山内由華さん)
「もうちょっと見ていたい
もうちょっと見ていたい
工房の見学に集中しちゃって。」
手間をかけて作ったランドセルに毎日触れることで
ものに込められた思いを感じとれるようになってほしいと考えている。
(山内由華さん)
「ふとした瞬間に置き直したりとか
ランドセルの日もにしわがつかないように手でこうやって置いているのを見ると
大事にしてくれているのかなと思います。」
ランドセル選びは“孫の成長を見守っていきたい”という祖父母にとっても
大事なイベントである。
都内に住む吉田さん一家。
埼玉県で開かれたランドセルの展示会に訪れた。
2つ上の姉に続き橙哉くんにもランドセルをプレゼントすることにした。
家族会議では祖母のしげみさんが積極的に意見を出す。
(祖母 しげみさん)
「あえて赤と黒はつまらないと思って
違う色を探した方が、というのはおばあちゃんの意見なんですけど。」
インターネットで探したり
カタログを集めたりして
好みのランドセルを探した。
(母 吉田実幸さん)
「どうしようねとか言って選んだりするのはすごく楽しい時間です。
祖父母が子どもの成長や入学をすごく喜んでいるんだなと感じます。」
電車で約40分かけてやって来た展示会場。
3,600人が訪れ大混雑のなか
お目当てのランドセルを探した。
「孫に似合うランドセルを見つけてあげたい」
しげみさんは真剣である。
選び始めて約1時間半。
家族全員が気に入ったのは
手縫いで丈夫さが売りのランドセル。
祖父の忠昭さんが慣れない手つきでスマートフォンから注文した。
(祖母 しげみさん)
「一緒に来て楽しいという気持ちがありますね。
親しみが違います。
喜びも違いますしね。
孫の後ろ姿
身長とランドセルのバランスで大きくなったなとすごく感じます。
そういうのを見ているのも楽しみですね。」
家族の一大イベントとなってきたランドセル選び。
子どもたちは成長を願う家族の思いも背負っている。