7月19日 首都圏ネットワーク
イスラム教で禁じられている豚肉やアルコールが商品に入っていないことを証明する
「ハラール認証」。
東京で開かれたイスラム市場向けの商品の展示会。
ズラリと並ぶ食品などのパッケージに貼られているのはハラール認証である。
(イスラム教徒の女性)
「宗教上の義務ですから
ハラール認証がある食べ物を優先します。」
中には認証を取得した物流サービスもある。
物流の過程で豚肉などに触れていないことを証明している。
(日本通運 事業開発部 大加戸保係長)
「豚と一緒に運ばれてくることに対し嫌がられる方がいらっしゃるので
これからは必要になってくる。」
ハラール認証をとる企業が増えるにつれて
認証を出す側の団体も急増している。
ただ登録制度や全国組織などは無く
各団体が独自に検査を行っている。
そのうちの1つ
大阪のNPO団体 日本ハラール協会。
この日訪れたのは京都府にある化粧品会社の工場。
検査では
他の製品の材料が混じらないように専用のスペースがあるかどうかをチェック。
また原材料や包装紙に至るまで
調達先の会社にハラールであることを証明する書類を提出してもらっている。
さらにこの段階では
「DNAの検査をして動物性の反応がないかということで
不検出。」
(MYYUKI 船橋学常務)
「原料資材・容器に至るまでハラールスペック。
もう1つ大きなマーケットに進出したいなと。」
実はこのハラール認証は
1つの団体の認証だけで世界中どこでも通用するというわけではない。
輸出先の国によって認める認証が違うなど複雑な面がある。
愛知県でお菓子を製造する会社。
3年前 マレーシアへの輸出を念頭に
千葉市の団体に依頼してハラール認証を取得した。
(製造担当者)
「認証取得することで
海外のイスラム教徒の方にも商品を販売することが出来る。」
他のお菓子の原料と混ざらないよう
カーテンに仕切られた専用の作業スペースを作るなど
130万円をかけて認証を取得した。
しかし現地を商談で訪れた際
問題が明らかになった。
(かとう製菓 加藤貴広社長)
「バイヤーとお話ししたときに
“マレーシアのハラール認証じゃないとだめです”と。
そのときは“あれ”って思いました。
おかしいなと。
今ある認証だと日本とシンガポールでしか販売できない。
他の国では認証として効果がないとわかった。」
この会社ではあらためて別の認証を取るかなど
戦略の見直しを余儀なくされている。
この会社に認証を出した団体の代表は
マレーシアでは別の認証が必要だと
事前に説明したはずだと主張する。
(NAHA日本アジアハラール協会 サイード・アクター理事長)
「取得してもマレーシアに輸出はいまのところできない。
MAHAの認証が
マレーシアとインドネシアでは今現在流通が認められないと言っています。
プレゼンテーションの中で。
それは間違いないです。」
こうした行き違いを無くすため
国などがハラール認証に関する一定のルール作りなどは出来ないのか。
農林水産省の担当者に聞いたところ
意外にも
国家と宗教のかかわりを禁じる「政教分離」の原則が
壁となっていることがわかった。
(農林水産省 輸出促進課 山田英也さん)
「イスラム国家でもないので
ああだこうだと判断することにもなりません。
宗教と私ども行政
そこは限界があるということだと思う。」
いま国では出来る対策を進めようと
関連する独立行政法人に補助金を出してセミナーを開いている。
企業に対し
輸出先に適合したハラール認証かどうか
そもそも認証が必要な商品かどうか
慎重に検討するよう促している。
(参加者)
「どこかの認証団体で取れば
ある程度
イスラム市場に行けるのかなと安易な考えだった。」
専門家は
企業は何よりもまず正確な情報を集めることが重要だと指摘する。
(早稲田大学 人間科学学術院 砂井紫里非常勤講師)
「ハラール認証をめぐる現状と市絵は
情報が足りなかったり
過剰であったり
偏っていたり
曖昧模糊とした状況だと思います。
売り先 ターゲットとしている場所で
パートナーの人たちと実際に会って
はじめて認証を取得すべきかという検討が始まるべきだと思います。」