7月31日 おはよう日本
5月 アメリカの現職大統領が始めて広島を訪問した。
万感の思いで見つめる人があった。
アメリカの外交官 ジョエル・エレンライク氏である。
政府代表は広島の平和記念式典に出席しない
という長年の方針に
11年前に東京のアメリカ大使館で初めて異議を唱えた。
(アメリカ外交官 ジョエル・エレンライク氏)
「日米関係を進展させ
両国が協力し
未来に目を向けていく上で
駐日大使の式典への出席は良いことだと思った。」
“出席は謝罪と受け止められる恐れがある”として
大使館内からは反対意見が相次いだ。
しかし被爆者との交流を通じて
エレンライク氏には
広島の人たちは過去ばかりに固執していないという確信があった。
(アメリカ外交官 ジョエル・エレンライク氏)
「私が衝撃を受けたのは
被爆者・広島の人たちが過去ばかり見るのでなく
現在・未来の平和に焦点を当てていたことだ。」
その後エレンライク氏は
国務省に国の政策を改めるべきだと提言を送り続けた。
それから5年
思いは実った。
2010年 ルース駐日大使(当時)が
初めて政府代表として広島の式典に出席することになったのである。
翌年 エレンライク氏は
“勇気をもって政府の政策に異議を唱えた”として表彰を受けた。
そして今年
オバマ大統領の広島訪問を目の当たりにすることができた。
(アメリカ外交官 ジョエル・エレンライク氏)
「私が種をまいて
成長するのを助け
それがようやく政策に反映された。
アメリカ大統領
日本の総理大臣
広島の人々が
より良い世界を願って一堂に会したのを見て
外交官として誇らしかった。」
アメリカ政府高官が足を運ぶようになった被爆地広島。
その陰には
信念を持って政府の政策に異議を唱え続けた外交官の思いがあった。