7月30日 経済フロントライン
7月1日 仙台空港が民営化された。
これまで国が担ってきた空港運営は民間企業が行う。
空港民営化元年。
仙台に続き
福岡や高松
北は北海道まで
全国12空港が民営化に向けて動き出している。
東北地方最大の空港 仙台空港。
経営を担うのは
鉄道会社や総合商社などが出資した新会社
仙台国際空港株式会社。
各企業から社員が送り込まれている。
この新会社がまず実現したのは新規路線の開設である。
LCC格安航空会社 タイガーエア台湾の誘致に成功した。
東北初のLCC国際線の就航である。
誘致成功の裏には民間企業ならではの戦略があった。
国の管理のもとでは行ってこなかった路線の誘致に
新会社は初めて取り組んだ。
その中心となったのが商社出身の岡崎克彦部長。
(仙台国際空港 営業推進部 岡崎克彦部長)
「民間企業として可能性のあるところに直接営業して
仙台に来てもらう。
待っていては誘致は出来ない。
こちらから働きかける必要がある。」
交渉にあたっては大きな壁が立ちはだかっていた。
タイガーエア台湾のCEOがもっとも懸念したのはコストだという。
(タイガーエア台湾 CEO)
「日本の空港への乗り入れには
他の国に比べて高いコストがかかる。
新しい路線を始めるにはなるべく多くの優遇策がほしい」
どう要望に応えるのか。
岡崎さんが交渉のカードに使ったのは着陸料だった。
民営化後 着陸料は会社が自由に設定できるようになった。
搭乗率が低い場合
その割合に応じて値引きすることを提案したのである。
さらに印鑑企業の強みを生かした次の一手を打った。
日本から台湾への旅行者を増やすため
ツアーの企画やPRまで全面的にサポートすると約束した。
(タイガーエア台湾 CEO)
「空港の支援がなければ
これほど円滑に仙台に乗り入れることは出来なかっただろう。
とても満足している。」
こうして実現した新規就航。
仙台空港ではさらなる路線の開拓に向けて
他の航空会社との交渉も始めている。
(仙台空港 営業推進部 岡崎克彦部長)
「仙台空港とのコミュニケ―ションを通じて
従来の国際空港とは違った魅力を航空会社に感じてもらった。
民間企業ならではの運営ということで期待されている。」
さらに新たな収益の柱を生み出す取り組みも始めた。
海外向けの貨物を増やすことである。
(仙台国際空港 営業推進部 伊良波長治さん)
「こちらが輸出貨物・輸入貨物を通関する保税蔵置所です。」
輸出を増やせば
貨物の取扱や通関の手数料の増収が見込める。
そこで始めたのが
農家や漁業関係者への直接営業である。
「これからもし輸出に興味があれば
お手伝いさせていただけないか。」
海外で需要拡大が見込める日本の食材の輸出を増やそうと呼び掛けた。
単に荷物を扱うだけでなく
銀行や商社などと連携し
生産者の販路獲得まで支援するというものである。
生産者にとっても
空港にとっても
収益が上がる仕組みを目指している。
(フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング 土合和樹さん)
「信用力の面とかで頼りにしながら
提案に乗っていった方が
力強く海外に向けて売っていけると興味を持った。」
(仙台国際空港 営業推進部 伊良波長治さん)
「皆さんのに荷物をすべて集約して
“東北の小さな商社”のような形をとって
輸出を共同で行う。
輸出量を増やしていくことによって
仙台空港の貨物の量もどんどん増やせていければと考えている。」