5月14日 おはよう日本
5月初めまでパリで開かれていたIPBES(生物の多様性に関する政府間組織)の総会。
地球全体で100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しているとする報告書が初めてまとめられた。
(IPBESの議長 イギリス イーストアングリア大学 ロバート・ワトソン教授)
「我々の課題は生物多様性と生態系の受容性を示し
関心を高めることだ。」
もっとも大きな要因とされたのが
人間による陸や海の利用である。
陸地では農地の拡大や農薬の使用などが動植物の命を脅かしているという。
生物の保護とに人間の活動をどう両立させるのか。
ヨーロッパ最大の農業大国フランスでは共存を目指す取り組みが始まっている。
絶滅の恐れのある渡り鳥 ヒメノガン。
かつてヨーロッパや中央アジアに広く生息していた。
(野鳥の保護団体 ジャンドルさん)
「農業の大規模釉薬赤が進むにつれてヒメノガンは激減した。
環境に大きな変化が起きた。」
小麦の生産が盛んなフランス南西部では
1970年代以降
世界的な価格競争に対抗するため農地が大規模化し
農薬の使用も増えた。
その結果
住みかとなる牧草地が失われただけでなく
エサになる昆虫も減少。
70年代に7,000は近く確認されていたヒメノガンは現在では350羽ほどと激減した。
保護を求める声の高まりを受けてフランス政府は
1ヘクタール当たり6万円あまりの補助金を農家に出して
農地の一部を農薬を使わない牧草地に変えてもらう事業を始めた。
(農家)
「牧草地への転換を支持する。
補助金があれば検討に値すると思う。」
なぜ生物の多様性を守らなければならないのか。
IPBESの報告書は
人間はさまざまな動植物から多くの恩恵を受けており
生物の絶滅や生態の破壊は自然の豊かさを劣化させ
人間にも深刻な影響を与えるからだという。
(野鳥の保護団体 ジャンドルさん)
「私たちの目的は農家と敵対することではない。
生物の多様性を守るためにともに解決策を探すことだ。
野鳥や生態系を守ることは自分たち自身を守ることだと忘れてはならない。」