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混迷 南米のいま ②コロンビアの和平は

2019-06-26 07:00:00 | 報道/ニュース

5月29日 国際報道2019


2年半前 長年続いてきた内戦に終止符をうったコロンビア。
反政府ゲリラ組織と歴史的な和平合意を実現したサントス前大統領はノーベル平和賞を受賞した。
しかし去年
右派政党を率いるドゥケ大統領が就任したことで状況は一変。
(コロンビア ドゥケ大統領)
「和平合意には修正が必要だ。
 被害者が和平プロセスの中心になるための習性だ。」
世界が祝福したコロンビアの和平合意だが国内ではそれを見直そうという機運が高まっている。
コロンビア政府が和平を結んだ相手は反政府ゲリラ組織 FARC=コロンビア革命軍である。
このFARCは麻薬の売買や誘拐による身代金を資金に
50年にもわたって政府と戦闘を続けた。
長い内戦で22万人の一般市民が犠牲になったと言われている。
2016年コロンビア政府はFARCとの和平合意にこぎつける。
武装解除を条件に政治への参加を認めたほか
罪を認めた元メンバーは罪を軽くすることを約束した。
ところが去年6月
この和平合意の修正を主張するドゥケ大統領が就任。
ドゥケ大統領は
「FARCに罪の代償を払わせるべきだ」とかなり厳しい態度で臨もうとしている。

去年就任したドゥケ大統領。
FARCは内戦中に犯した殺人などの代償を払うべきだと繰り返し訴えてきた。
(ドゥケ大統領)
「我々はテロ 社会に圧力をかけるための暴力を許さない。」
与党の幹部もFARCに対し厳しい処罰を求めて行くと強調した。
(与党 民主中道党 マルティネス幹事長)
「FARCは内戦で人道に反する罪を犯したがその罪を償っていない。
 平和には許し
 そして償いが必要だ。
 我々は和平合意を修正していく。」
ドゥケ大統領の強硬な姿勢はFARCの被害者たちから強く支持されている。
被害者の会のオジョス会長。
1994年ジャーナリストとしてラジオでFARCを批判したところ
FARCのメンバーに誘拐され17日間監禁された。
オジョス会長は
凶悪な犯罪を繰り返したFARCが和平の名のもとに罰を免れるのはおかしいと訴えている。
(FARC被害者の会 オジョス会長)
「前大統領の和平合意は間違いだった。
 国民はこの国が左翼の手に落ちないようにドゥケ大統領を選んだ。」
こうした状況によってFARCの元メンバーによる武装闘争が再燃しかねないという懸念が高まっている。
首都ボゴタから車で4時間。
武装した軍が警備する敷地に300人ほどが住む小さな集落がある。
これまで生活していたジャングルに近い人里離れた地域に施設がある。
暮らしているのは元メンバーとその家族たちである。
共同生活を送り
和平合意の柱の1つとなった社会復帰のためのプログラムに沿って職業訓練を行っている。
政府が補助金を出しているこうした施設は国内に24か所ある。
FARCの元指揮官 カニョンさんは14歳から35年にわたって武装闘争に参加していた。
和平合意がなし崩し的に崩壊する事態になれば
再び仲間たちと武装蜂起することも辞さない構えである。
(FARCの元指揮官 カニョンさん)
「仲間の多くが再び武器を持ちゲリラに戻った。
 ドゥケ大統領は信用できない。
 和平合意を葬ろうとしているからだ。」
FARCの社会復帰を支援する地元の大学教授は今後に不安を感じている。
(ハラミージョ教授)
「補助金が打ち切られる可能性がある。
 前の政府の時には信頼があったが
 新政府になり
 どうなるか心配している。」
和平合意をめぐって分断が深まるコロンビア。
専門家は危機的な状況に陥っていると警鐘を鳴らす。 
(ロサリオ大学 コーシン教授)
「政府はFARCのためのコロンビア社会の改革ができていない。
 このままでは内戦状態に戻ってしまう。」





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