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「強い日本」「豊かな日本」に続く「楽しい日本」を作ろう

2019-06-14 07:00:00 | 編集手帳

 

5月20日 読売新聞 編集手帳

 

 「団塊」とは、
鉱業の専門用語だという。
堆積たいせき岩中に周囲と成分の異なる物質が丸みを持った塊となっている状態を指す。
堺屋太一さんが、
『団塊の世代 新版』(文春文庫)の前書きで書いている。
前後の世代とは、
異なる経験と性格を持つと。

戦争とモノ不足を知らない。
高度経済成長期に育ち、
「明日は今日より豊かだ」と信じた。
フォークやロック、
漫画など大衆文化も生む。
一線は退いたが、
今は「人生100年時代」を切り開く最前線にいる。

その子供の団塊ジュニア世代も異質の経験をした。
新卒一括採用の日本で大不況期に就職時期を迎えた「就職氷河期世代」だ。
非正規雇用に甘んじた人も多い。

政府は、
氷河期世代の雇用安定へ集中的支援に乗り出す。
かつて国は「団塊ジュニアが適齢期になれば、人口は増える」と楽観していたというから、
この世代の苦境が少子化の一因だろう。。

世代という地層の一部がもろくなれば、
社会全体が揺らぐ。

堺屋さんは生前、
「3番目の日本」を作ろうと唱えた。
明治の「強い日本」、
戦後の「豊かな日本」に続く「楽しい日本」だ。
団塊親子がその主役になるといい。

 

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