
思春期の生徒のこころは、子どもによる違いはあれど、大なり小なり揺れるものです。
自分の考えに夢中になり、まわりが見えなくなり突っ走る。周囲のおとなのいうことに、耳を貸そうとしない。そういうときもあるでしょう。
かと思えば、後ろ向きになり、後退するように、自分を友だちの前に押し出しことをためらい、消極的になる場合もあります。
子どもによっては、その両極端を交互にあらわす場合もあります。
たとえば、そのこころの動きを振り子にたとえてみます。
まわりが見えなるという前者は、振り子が大きく右にふれた状態です。
後退するという後者は、振り子が大きく左にふれた状態です。
そのいずれが優れている、劣っている、ということではありません。
そのように、行ったり来たりするのが、思春期なのです。
でも、行ったり来たりする振り子は、やがてセンターで落ち着きます。
そのセンターが、いちばん安定した点です。調和のとれた位置(ハーモニー)に落ち着きます。
その点が、その子本来の姿を示すのです。どちらの方向にも向かない調和した存在です。
その本来の姿は、まわりの条件や環境により、右に左に揺れているのです。
揺れることはよくないことではありません。その動きこそが、その子が生きている証です。
おとなになるということは、振り子が調和した状態になることと言えるのだと思います。