昨日、全校生徒にウエットティッシュ1個とチラシ1枚ずつを配りました。
それらは、大阪府のヘルプマークの府民むけ周知啓発のものです。
1年生は、過日、福祉体験学習のさきがけとして、箕面市社会福祉協議会(社協)の職員さんから、お話を聞いたとき、ヘルプマークについて、すでに説明を受けています。
「アッ、あのとき聞いたマークや」と、結びつきます。
社会には、外見だけではわからないけれど、障害があるため、サポートや助けを必要とする人がいます。
だとえば、内部障害をもっている、難病にかかっている、義足をつけている、人工関節を使っている人などは電車などで立っているのがつらいことがあります。
立つ、歩く、階段の昇り降りがたいへん。災害のとき、柔軟に臨機応変に行動するのが困難。
妊娠初期の人も、まわりからはわかりにくいものです。
その人たちの困難さが、まわりの人に伝わりにくいという問題が、私たちの社会にあります。
このヘルプマークをつけた人を見かけたら、本人がサポートや助けを求めているという意思表示をしています。
だから、電車内で席を譲る、「お困りですか?」「なにか手伝いましょうか?」と声をかけることができます。
このキャンペーンは、三中保護者の方が箕面市にお勤めで、仕事上の研修でヘルプマークの啓発グッズをもらい、三中生に配ってもらえたらという提案を受け、三中が配付しました。
さて、このチラシにも「思いやりの行動」と書かれています。
三中のクラス目標にも、思いやりを書いている場合もあります。
学校で、思いやりの価値を教えることは、重要ですし、必要なことです。
人権の問題は心の中から発する行為で起こります。だから、個人の心のあり方を考えさせ、思いやりの心をもつように教育することは大切です。
しかし、人権に関する私の考えでは、それだけでは不十分です。
人権の問題は、社会の仕組みが生み出しているという理解を生徒に促していく面も必要と考えるからです。
たとえば、ひと昔前には、駅にはエレベーターがついていませんでした。
車いすの人は階段を昇れない。
これは、社会が車いすの人を閉め出すことになっているという社会のしくみの問題でした。
そこで、近年では、車いすの人も、車いすにのっていない人も、エレベーターを使い、駅を利用できるように、社会の問題を解決するように変わってきたのです。
これは、個人の心のありようだけ、つまり思いやりだけでは、人権の課題は解決に向かわないということです。
人権の課題を解決するためには、思いやりと社会を変えるのと、両方が必要なのです。
三中で生徒たちに行う人権教育は、生徒たちに思いやりだけでなく、社会の問題に気づかせ、できれば社会を変える行動につながっていくように行なっています。