学校のいまの授業では、たんに知識や技能を教わるだけにはとどまりません。
自分で問いをもち、なぜだろうという疑問をもち、それを習った知識をつかって調べたり、推察しながら考えていき、他の人と話しあうことで、自分の考えを深めていく。
このような学力を育てる授業を、学校では教員が研究して実践しています。
そこで、私がちょっと危惧していることがあります。
それはタブレットやPC、スマホを使うときに立ち上がる「レコメンドシステム」です。
インターネットでは、使う人の過去の通販購入履歴や調べものをする人の閲覧履歴をサイトの運営側が蓄積していき、そのデータをもとに「あなたにおすすめ」として表示するしくみになっています。
たとえば、ダンスをしている動画を見たいと思った中学生がインターネットを通じてみると、「こんな動画もどうですか」とたくさんの動画が出てきます。
そこで、次のダンスの動画を見ると、また次の動画が出てきます。
この場合、最初に見た動画は子どもの「知りたい」というニーズにこたえる便利な情報です。でも、その後から出てくる動画を見続けるのは、その動画サイトに踊らされていることになります。
これを続けていると、知識を取り入れ、疑問をもつ間もなく、どんどん情報だけがあふれ出し、生徒が考えるということをしなくなるという危惧です。
もう一つの危惧は、「レコメンドシステム」により、嗜好に偏りができ好みが固定化することです。
子どもが広い視点から疑問をもつ感度が鈍ってしまうことにもなりかねません。
いま、学校で行っている授業は、国の言い方では「主体的で対話的で深い学びのある授業」を推進するとあります。
そのためには、タブレットなどのICT機器が必要です。
スマホは子どもがおもに家庭で使う習慣はふつうになりました。
しかし、その機器に備わるインターネットが、子どもの学習に役立つという光の部分と子どもの学習を妨げるという影の部分を、私たちに突きつけるのです。
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