箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

院内学級とは

2020年07月04日 07時47分00秒 | 教育・子育てあれこれ


多くの子は、健康で、病気がなく、学校に通えるのが当然のことです。

でも、子どもたちの中には、病気を治療するため、入院生活を送らなければならない子もいます。

そういう子どものためにあるのが、「院内学級」です。

たとえば、大阪府箕面市の場合、箕面市立病院には、院内学級が病院内に設置され、市内の小中学生が入院しています。

入院により目標を見失いがちな児童生徒を精神的に支え、学習面での遅れがないように、基礎学力を充実させる看護や支援を行います。

全国の小中学校を不登校などで長期に欠席している児童生徒は、約18万人以上います。そのうちの約2割は病気による欠席です。

病気だから学校を休む。これは「当たり前」のことと考える人は多いと思います。

しかし、法令では、日本国憲法第26条で「教育を受けさせる義務」とあわせて、「教育を受ける権利」が規定されています。

大人たちは入院している子どもの状況を思いはかり、「病気のときはしかたない。元気になったらまた勉強できるから」という人が多いのではないでしょうか。

でも、元気でないと勉強してはいけないのでしょうか。
そうではなく、入院していてもいろいろな学習はできますし、楽しい時間を過ごすこともできるのです。

院内学級のスタッフは、学校の先生と連絡をとりあい、子どもの状況にあわせ、学習する内容を調整します。また、病院での子どもの様子を学校と情報共有します。

子どもは、基本的に「けなげ」です。病気をかかえた子どもたちの中には、病気になったことや入院をしたことで、まわりに迷惑をかけていると思いこむ子もいます。

そんな子は、「もうこれ以上迷惑はかけられないから…」を口ぐせにする子もいます。

病院の中では、基本的に子どもは「受け身」であることを求められます。

「患者」なのだからお医者さんや看護師さん、スタッフの言うことをよく聞いて、早く回復することが第一に優先されますから、「受け身」は当然です。

でも、子どもにとって受け身の生活が続いてくると、自分で考え、行動する機会が減ってきます。

ですから、常に受け身を子どもに求めたり、「よく言うことをきいてくれるね」というメッセージを出し続けることは、病気と言えども、子どもの自主性を育む機会を奪っていることにもなります。

この点を意識して、院内学級のスタッフは学級を運営しているのです。

ところで、「子どもを受け身にしたらいけない」というのは、院内学級だけの課題でしょうか。

もしかしたら、家庭の中や学校の中でも、子どもを受け身にしていることが、いまの時代、多いのではないでしょうか。

家庭で、子どもが自分でやるべきことを、先に親が「やってあげる」ことがないでしょうか。

学校でも、いまなら、新型コロナウイルス感染防止のため、
教師が消毒をする、
マスクをつけるように指導する、
手洗いを励行する。
「間隔をつめすぎないようにしましょう」。

また、感染対策以外でも、次はこんな学習をします。次はこの行事です。子どもが自ら考え、自発的に行動する機会が少ないのです。

わたしは、もっとも厳しい状況からは、すべての課題が見えるといつも思います。

明るいものごとからは、何が問題であるかはわかりにくいのです。でも、暗いものごとからは、ふだん気がつかない全体に通じる問題が見えてくるのです。

院内学級の子どもに接することは、すべての子どもに通じる課題を知ることができるのだと思っています。


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