
汐見坂から撮影した「二の丸雑木林」です。散策道が原生林の中を伸びていて、この散策道を歩いていくと「二の丸庭園」へ出ることが出来ます。原生林周辺は人通りが全くと言っていいほどありませんでした。

武蔵野台地の風景を代表する雑木林を再現して造営されている「二の丸雑木林」。コナラやクヌギなどの落葉樹の林が保たれ、チゴユリなどの春植物(樹木の葉が開く前の林内が明るいうちに葉を広げ、花を咲かせる植物)をはじめ、多様な動植物が生息・生育できる林となっています。

振り返って汐見坂とその両側に広がっている巨大な石垣を撮影してみました。この石垣の上面部分が本丸跡地の高台広場の地面と同じ標高高さとなっています。

今年の真冬の時期に訪れた時は原生林全体が枯れ木状態だったので、この散策道から正面に広がっている大手町の高層ビル群を眺めることが出来たのですが、現在だと濃い緑に覆われています。

この雑木林は昭和天皇のご発意によって、武蔵野の面影を持つ樹林として1982年(昭和57年)から1985年(昭和60)年にかけて整備されたものです。

真夏の強烈な太陽光が照りつけている東京都心部ですが、この雑木林の中では木陰の中を散策することが出来ます。

雑木林の中で形成されている「生物の多種多様性」を維持するという観点から、散策者が遊歩道内から自然林へ入ることは禁止されています。

木陰が出来ている散策道の中をサクサク歩いて二の丸庭園を目指しますが、この散策道は至る場所でカーブしていたり分岐していたりします。

昭和天皇の意向によって原生林が整備される以前は、この場所には広大な芝生が整備されていたそうです。視界が開けてきました…。

二の丸原生林の東側に広がっている「二の丸庭園」に出ることが出来ました。庭園周辺にも数多くの木々が植えられていて、色鮮やかな濃い緑色に光り輝いていました。

30度前後の真夏日の中の散策だったため人通りもほとんどなく、閑散とした雰囲気に包まれていました。周辺はセミの鳴き声だけが響き渡っていました。

二の丸庭園内を歩いていると物凄く目立つのが正面に写っている「日本経済新聞社本社ビル」と「経団連ビル」の二つの高層ビルです。この高層ビル群がある意味「借景庭園」の役割を果たしているのかもしれませんね。

完成間際の「(仮称)読売新聞東京本社ビル」もこれからは、この借景庭園の仲間入りとなることでしょう。大手町地区の取り壊しと高層化のための再開発工事は今後も続きますから、10年後には一体どんな風景になっているのやらです。

二の丸庭園の一角には「菖蒲園」が整備されていて、5~7月にかけて綺麗な花菖蒲を鑑賞することが出来ます。8月下旬ですと枯れかけている菖蒲を眺めることが出来ます。

菖蒲園の周囲には丸太や石で護岸を整備しているせせらぎが造られていて、綺麗な水が流れています。二の丸庭園の中での見どころの一つだと思います。

花菖蒲の花壇とせせらぎの間には、簡易的な水門まで設けられていたりします。次回の記事では二の丸庭園の池の周囲を散策していきます。
