「赤毛のアン」の翻訳者である村岡花子の生涯を孫の村岡恵理が書いた伝記小説。小説とエッセイと伝記が合わさったような本だけれど、とても読みやすい。
途中、書簡がそのまま載っているのも興味深い。現在の東洋英和に父親の強い希望で給費生として入学する。その学校はカナダ人が中心となってできた学校であるところも縁なのだろうか?
当時としては珍しく、長男ではなく、長女の花子に父が期待をかけたのは、非凡な能力が大人の目から見ると明らかだったのだろうか?(長男は養子に行き、その後音信不通となるが、ある時、現れ、不遇な人生を送っていたに違いないと思われる)
英語の勉強に熱心になり、興味のない分野に関しては、合格ラインの勉強までしかしなかったが、学校にある本はほとんど読みつくす。
また、学友であった柳原白蓮との友情や戦時中の文壇との交友のエピソードも興味深い。
その後の身内としては隠しておきたいことも、はっきりと書いてあるところがすごい。
そして、その内容を読むと考えずにはいられないこともはっきりと書いてある。