クリント・イーストウッド監督作。
イーストウッド作品はなるべく見るようにしています。物語の進め方が上手い、主人公の環境や状況がストーリーの中で自然と説明されているので話に引き込まれやすい。
ただし、最後が苦々しい終わり方のものが多いので、2度見る気力はないのですが(苦笑)
「チェンジリング」は<替え玉>の意味。行方不明の子供が見つかり、戻ってきたら他人とすり替わっていた。しかも、実際に起きた事件ということで、公開当初から興味がありましたが、やっと見ることができました。
こういう紹介だと、だいたい、主人公が謎を探りあてると、巨大な闇組織があって、権力との癒着があって、格闘家やヒットマンが主人公を狙って、信じられないようなアクションを見せて最後には子供を救う、こういうのが、最近の映画のパターンじゃないですか。
この映画は、どこまでが事実でどこまでが脚色された話かは分からないのですが、現実に合った話だと思えば思うほど、背筋が寒くなりました。
以降、今回はほぼネタバレで書きます。
シングルマザーのクリスティン。9歳の息子がある日失踪する。月日が過ぎて、本人が見つかるが、対面すると他人だった。同行した警察に訴えるが、しばらく会っていなかったから、変化についていけないのではないか、と、言いくるめられ、家に帰される。家に帰ると、身長が低く、割礼されていることにも気づく。警察に訴えると、精神科医を連れてこられ、やはり言いくるめられる。新聞記事にはクリスティンを非難する記事が載る。
そんなクリスティンの元にあるブリーグレブ牧師が現れ、街の警察の状況等が背景にあり、警察の信頼を失墜させないために取り合わないことを知らされる。
クリスティンは牧師のアドバイスを受け、歯科医や学校の担任教師に別人である証人を取り付け、マスコミに発表しようとする。担当刑事は彼女を精神病院に送り込む。その、精神病院には警察官を訴えようとした女性、警察官からの被害にあった女性が同様に精神疾患として、病棟に隔離されており、精神科医も警察の指示に従順だった。
そんな頃、不法滞在者が逮捕され、事件に新たな局面を迎える。
クリスティンは自分の子供を探し出したいだけなのに、違う子供がやってきて、息子だと名乗る。私は単純なので、ここでクリティンが精神錯乱を起こしているとは思いませんでした。クリスティンは警察の前ではなるべく丁寧に対応して、機嫌を損ねさせないように、対応します。しかし、警察はクリスティンの訴えをまったく聞こうとしない。挙句の果てに、精神病院へ強制的に入院させられる。自体は八方塞がり。
ただ、観ながら、これはこの時代、この地域のみに起きた異常な事態ではなく、私たちも日常、正しいと思ってルールに則り、訴えたり、助けを求めているのに、八方塞りな状況に合うことってあるな、と。他人事ではないな、自分もこれほどの状況ではないにしろ、八方塞りの状況になったことはあったな、と思い起こしました。
この事件はやがて決着を迎えるのですが、それはそれはおぞましい結末で、事実だと思うとやり切れない気持ちになります。