河口公男の絵画:元国立西洋美術館保存修復研究員の絵画への理解はどの様なものだったか?

油彩画の修復家として、専門は北方ルネッサンス絵画、特に初期フランドル絵画を学んできた経験の集大成を試みる

最近作の展示

2018-04-09 00:54:50 | 絵画

全く申し訳ない話、これまで文章ばかりで、自身の作品については、お見せすることがなく申し訳なく思っていたけれど、何とか撮影して、このブログに挿入することが出来たので、公開します。縦80cmx横60cm、板に胡粉地、油彩 最終的題名はありませんが、観ての通り「森の死」とでもしておきましょうか。白い部分は地のままです。制作工程10のうち3程度でしょうか。最終的仕上がりは細かく細部に質感を与えるところまで描き込みます。しかしもっと早く仕上げられる能力が求められます。

素地(基底材とか言う人もいるけど、紙素地、木素地、金属素地などという方が合理的と思う。基底材は建築などに使う。)はランバコア15mm厚、裏表に膠、胡粉地を施している。それほど徹底的に平滑に磨かないで描く。描く前に気川の目止め、亜麻仁油をテレピン精油で10%に割ったもので吸い込み止め。マス目を入れて下絵のペン画をフリーに線描で写してから彩色を始める。

製作途中です。写真写りも今一。色も再現が悪いです。

両方とも向かって左下部分です。

下の作品は同じ構図ですが、別作品で、かつて Le cirage という題で紹介した作法で描いています。

寸法は同寸、胡粉地に卵黄テンペラ、イェローオーカー、ブラウンオーカー、ロウアンバーの三色。何故同じ構図を二点描くのかといわれると困るけれど、これ以外に元絵となるペン画のデッサンに当たるものがあり、デッサンの描写の新鮮さを思い出すために、そちらを参考にしながら描いてみることで、新しい感性が得られないか試しているところです。テンペラ絵具は水性ですので、少しづつ濃くしていくしか方法がありません。こうしたモノクロ状態で描くことで、ヴァルール(明暗)の雰囲気に快感を覚えますが、徐々に細密にするには、困難が待ち受けていると言えるでしょう。しかし描画プロセスが常に成功を導くとは言えない移り気が必ず起きるので、それも制作の楽しみかも知れません。

 

油彩画と何となく細分が異なるのが分かるでしょうか?

 

上に掲載したペン画は油彩画などに起こしている原画です。ケント紙に黒インクで描いています。260mmx365mm

この原画は2007年に制作したもので、職場からくたびれて帰宅して、気慰みに少しづつ描き込んだものですが。このような構想画は最初から完成イメージがあるわけではなく、思いつくまま空間を埋めていくのですが、評論家が言うような思い付きは潜在意識ではありません。感覚的経験から記憶しているものを繰り返し描き入れているのです。

他の作品が出来上がると紹介します。それを見れば絵を描く者が視覚的記憶に頼っていることが分かります。

ペンで描いた原画の方が生き生きしているのが分かるでしょう。ピントが今一なのが申し訳ありませんが、キヤノンEOSでオート撮影、LED照明のせいです。

順次、昔描いた作品の撮影が出来次第掲載します。

 


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