・・・なんて。
数日前のこと。
前日、雨が降って散歩に出られず、この日も「晴れる」との予報ではあったが、何だか微妙な朝だった。
家を出て、散歩の半ば、折り返し地点であるバイパスとの合流点が見え始める辺り。
不意に強い風が吹いた。風と共にバラバラという大きな雨音がした。
その音たるや本当にマンガみたいで、平仮名で「ばらばらっ」と書く以外にないんじゃないかと思わされたくらい。
やっぱり微妙な朝だった。「ほら、早速予報を裏切って雨が・・・・」
、と思ったが何だか様子が違う。雨粒の降った重さがない。空気があっけらかんとしている。
夕立ち以上の大粒の雨が降ったみたいな音だったのに、どこにも雨に打たれた雰囲気がない。勿論路面に叩きつけられた雨粒の跡もない。
またひとしきり「ばらばらっ」という音が聞こえた。
やっぱり濡れた気配はない。それに、足元はバリバリという音を立てる。
枯葉にしては音が大きすぎる。
昔読んだ国語の教科書に「枯葉が微塵になった」という表現があって、本当は「砕け散って微塵になった」というところだろうけど、説明を省くとなかなかいい感じだと思った。
そういえば「奥の細道」なんかはそこらじゅうの説明の言葉を省略してそこはかとない雰囲気を出している。まあ、俳句・発句自体が色んな風に想像できるように作られているからそれは当然か。
帰途、同じ場所を通って気が付いた。
どんぐりの実が落ちていて、気づかずそれを踏みつけて砕いてしまう、その時の音。
落ちる時は盛大な夕立のような音で、知らず踏みつけるとバリバリと音を立てて砕ける。
異常な暑さと突然の涼しさの繰り返しの中で、確実に秋は深まっている。