CubとSRと

ただの日記

本当に悪いのは誰 続き

2022年10月24日 | 心の持ち様
 あの時、ベントが後からつけられたものだということは聞いたけど、そのような経緯(GE社は要らないと言ったが、日本は独自の判断で付けた)は知りませんでした。
 それよりもあの時は緊急事態の真っ只中、部外者の相手などしている暇は全くなかったところに「僕は原子力には詳しいんだ」と、ヘリから颯爽と原発に降り立ち、自ら状況視察に乗り込んだ、時の総理大臣の姿を映した場面ばかりが思い出されます。
 それでベントの操作が遅くなってしまって、ご存じの通りの取り返しのつかない結果が生まれたとか。真偽のほどは今となっては藪の中。分かりません。

 後半の転載です。↓
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 GE本社はもともと無責任だった。例の2001年の9・11テロのあと米国原子力規制委が「各原発は必ず複数の予備電源を備えろ」という改善命令を出した。
 破壊的なテロ攻撃に遭っても複数の予備電源があれば炉心暴走は食い止められるという実験結果によるものだが、GEはそれを東電に伝えもしなかった。
 もしそれが伝えられていれば東電福島は複数の予備電源を備え、あの事態は確実に避けられただろう。

 何もかもGEが悪かった。しかし日本の新聞はこの悪者を庇い続けた。
 大方の新聞記者、特派員は米国かぶれだ。中でも朝日新聞は社是みたいに米国を敬い、暫くの間、福島原発がGE製という事実すら隠した。
 竹内敬三編集委員は「日本では炉心溶融は起きないという甘い想定でベントを装備しなかったが、海外の動きに押されて導入した」と書く。GE製じゃないです。国産の欠陥原子炉ですよと言っているように読める。

 福島県民はそれだけで東電だけを責め、賠償金をせしめてきたが、そんな朝日の騙しに乗らない人もいた。
 3人の日本人と幾つかの被災地企業が「粗悪な原子炉をつくり、まともに保守もしなかったGEこそあの事故の張本人」としてボストン連邦地裁に昨年末に訴えを起こした。
 訴えが成立すれば日本側はGEの会長から逃げ出した駐在スタッフまで供述を取れる。GEの内部文書も全部要求できる。

 過去、日本企業がさんざ泣かされた手法を、今度は日本側がやれるのだ。あの事故に至るまでの杜撰さもその糊塗も、ついでにGEの対日戦略も暴き出せる。
 楽しい話だが、日本の特派員はこのネタもスルーする。いつまでも米国人に愛される記者でいたい。健気な人たちだ。

 (二〇一八年二月二十二日号) 

 
  新潮文庫 
  「 変見自在 習近平は日本語で脅す」
        高山正之著 より
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