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ただの日記

民主政治を安定させるためには

2022年10月16日 | 心の持ち様
「国民の総意に基く」という文言の誤り
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              加瀬英明


 世界の憲法には、書かれた「成文憲法」と、書かれていない「不文憲法」の、2つがある。日本、アメリカ、中国などが「成文憲法」の例であり、イギリスが「不文憲法」の例である。憲法はかならず書かれているとは、かぎらないのだ。日本国憲法は「第1章 天皇は国民の総意に基く」から、始まっている。

 天皇の存在が、日本の最大の特徴であるからだろう。もっとも、日本国憲 法の原文はアメリカ占領軍の手によって、英語で書かれているから、英語で読むと、「国民の総意」は「今、生きている日本国民の総意」を意味している。

 まさか、アメリカの大統領のように、定期的に投票によって天皇を選べ、というわけではあるまい。これでは、日本になじまない。日本建国以来生きてきた、日本人全員の総意であるべきだ。日本は古い、古い歴史を誇っている国だ。

 日本では憲法というと、書かれているものしかないと錯覚している。だが、日本の伝統的な生活文化そのものも、不文憲法である。

 家族の強い絆、祖先崇拝の信仰心をはじめとして、明治天皇が下賜された『教育勅語』の求めているすべてが、不文憲法である。日本語はもちろん、神社の祭、古典芸能、食文化から、日常生活を送るのに必要な躾けまで、日本文化そのものが不文憲法であるといってよい。

 私は20代にロンドンを訪れて、大恥をかいたことがあった。よい勉強となった。アメリカの留学を終えて、イギリスを経由して日本へ帰国した。アメリカの同級生がロンドンを、案内してくれた。

 バッキンガム宮殿、黒い熊の独特な帽子に赤い上着を着た近衛兵、中世時代の輝く銀の胸当てをつけた竜騎兵の隊列、ロンドン塔では“ビー フィーター”という番人が、昔のままの制服を着ている。

 私が感心して、「イギリスの観光政策は素晴しい。外貨収入に役立つでしよう」といったところ、私にからかわれたと思ったのだろう。「まさか外貨稼ぎで、やっているんじゃない。民主政治を安定させるためには、国民が古い仕来りを大切にすることが、何よりも必要だからだよ」と、切り返された。

 私はそれまで民主主義は新しい事物を取り込むことによって、進んでゆくと思い込まされていたので、冷水を浴びせかけられた。それにしても天皇の存在が、古い歴史に基くというのなら理解できるが、「国民の総意に基く」というのは、おかしい。

 いま、政府が選んだ有識者会議によって、女性宮家問題や、皇統を継ぐ男子の数を確保するために、旧皇族の男子の皇籍編入などが討議されているが、いったい国民が皇室のありかたを、一方的に定めてよいものだろうか。

 2000年以上も続いた皇室のありかたを、皇室にまったくはかることなく決めるのでは、皇室の尊厳を傷つけることにならないか。当然、皇室側のご意向を伺うべきであろう。
 現行憲法になってから、皇室と国民の関係が曖昧になってしまった。本来、国民は皇室の臣下であって、皇室を国民のオモチャにするべきでない。



 わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6290号
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         2022(令和4年)年 10月15日(土)より

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 「民主主義」というと、つい「今現在の国民」が全て、と思ってしまうんだけど、国とか社会ってものは、冷静に考えれば先人の努力、苦労の上に成り立つものですよね。現在の社会は、それを踏襲し、さらに向上を目指す。
 つまり、歴史を否定したり蔑ろにしたり、では民主主義は成り立たない。

 共産主義国で「民主主義」を名乗るところもあるけれど、あれ、よく考えたらおかしいんじゃないか、となります。先達が営々として築き上げてきた社会を一旦否定するわけですから。
 否定しておいて新しい社会を作る。うまくいかなければ、また新しい社会を作る。永遠にこれの繰り返し。常に「現在の人民」が革命を繰り返す・・・・筈なんですが、隣の大国、「否定」を許しません。社会主義国の筈なんだけど。

コメント
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