7月19日(水)
通っている珈琲店(と言っても月に一、二度)は7時から開店する。
今に始まったことではない。おそらく50年以上前からそうなのだろう。
そんなに早くから店を開けているのは、対象客が勤め人だかららしいが、詳しく聞いたことはない。
店に行くようになって三十年近く経つが、7時台に行ったことなんて一度もない。考えたこともなかった。
けど、この連日の猛暑、真昼間はバイクに乗るのだって億劫になる。
それで、ふと「早朝散歩ショートツーリング、朝食も兼ねて、珈琲店に行ってみようか」と思いついた。
「何も買い物はしないんだから、SRで」。
連日のこの暑さと言っても早朝だ、正面から受ける風は熱くはないだろう。
思いついたら何だか妙に楽しくなってきた。
7時過ぎに着くように、と思っていたのだが、いつも通りモタモタしていて7時過ぎに到着のつもりが、出たのが7時半を随分回った頃。
出てすぐ雨粒がヘルメットのシールドに当たり始める。
「ええ~っ?失敗したかぁ~。今日は凶日だった?」
微妙なところ。
「降りそうな。降らぬような」。どこかで聞いたようなリズム。
「おお、それそれ。あれは確かに鳥じゃ、今に飛ぶぞ、それ飛びそうな。飛ぼうぞよ」。
何か似ている、「柿山伏」に・・・・。似てない、か。
店に着いたのは8時過ぎ。予定より1時間遅れ。
何年か前からそうしているという、トーストの代わりにバゲットを焼いてバターをたっぷり塗ったのを注文。
トーストにマーガリンを塗ったのを3~4枚、寝ぼけ眼でパクつく。インスタントコーヒーに砂糖をたっぷり入れたのを合い間に飲み、いつも口の中を火傷してやっと目が覚め、慌てて自転車で駅に向かっていた高校生の頃、以来だ、「パンとコーヒーの朝食」って。
「バゲットにバター、一杯ずつ淹れたコーヒーで簡単な朝食」。
当然、「口の中を火傷する」、なんてことはしない。五十年も経てば朝食の摂り方だって上手になる。
店を出る頃には微妙だった雨もすっかり上がって、青空が見え始めていた。
そのままどこへも寄らず、帰る。
店と家の間を往復しただけで、これはホントにカフェレーサー。
「早朝のカフェレーサー」、って健康的で良い。
「年寄りの趣味」の一つに数えても良いかもしれない。
いやいや、ライダーこそ「青春日本代表」。バイクに乗っている時、気持ちは実年齢よりはるかに若いのだから。